「あまもりってなあに?」昭和の雨漏り体験を孫に語るエッセー
「あまもりってなあに?」昭和の雨漏り体験を孫に語る

昭和40年代初め、筆者が住んでいたのは江戸時代に建てられた古い家だった。数代前のご先祖様が旅の尼さんに寄進した庵だとか。屋根は茅葺きで天井板はなく、大雨で屋根の保水量が限界を超えると雨がだだ漏れになった。

雨漏りとの暮らし

昼は金だらいや洗面器で雨粒を受け、夜は布団の上に桐油紙をかぶせてぬれないようにした。桐油紙とは和紙に柿渋や桐油を塗ったもので、昨今のビニールシートの役割をしていた。枕元には顔に雨粒が当たらないよう傘を広げて寝た。傘は番傘、太い竹製の骨に油引きした和紙を張ってあった。この傘に漏れた雨粒が当たるとパタタパタタと独特の音がした。

「狼よりも盗人よりもおそがい(怖ろしい)のはフルヤノモリ(古家の雨漏り)じゃ」。明治生まれの祖母はよくそう嘆いていたが、筆者は平気だった。当時は同じような状況の家がいくらでもあったからである。その家も半世紀ほど前に取り壊して今はない。

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孫との思い出

ある時、唯一壊さずに残っていた納屋の隅で空中分解寸前のくだんの番傘を発見。懐かしさのあまり側にいた幼稚園児のめいに「昔はこれで雨漏りを防いだのよ」というと、彼女はしばし沈思黙考。首をかしげて「おばちゃん。〝あまもり〟ってなあに?」と尋ねたという。

清水奈緒美さん(69)が投稿したこのエッセーは、愛知県日進市の古い家での雨漏り体験を孫に語る内容で、昭和の生活文化を伝えている。

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