声優の赤尾ひかるさんが7月31日、初の小説『甘い制服をまとって』(KADOKAWA)を刊行した。『アサルトリリィ』シリーズの一柳梨璃役や『ATRI -My Dear Moments-』アトリ役などで知られる赤尾さんにとって、本書が初の小説となる。“マシュマロのように甘く、かわいさ1000%のガールズラブコメディ”と銘打たれている。
完成した本を手に取った赤尾さんは、感無量の表情で「大切な一冊になりました」と言葉を絞り出した。続けて、紙の本だからこその魅力や装丁へのこだわりについても語っている。
執筆の経緯とガールズラブコメディへの思い
赤尾さんは小学生の頃、物語を書く授業がとても楽しかったといい、携帯小説が流行っていた時期には少し書くこともあった。中高生のときには放送部の活動でNHK杯全国高校放送コンテストのラジオドラマ部門に出場するため、10分尺のラジオドラマを創作したこともあるという。趣味の一環として何かを書くことは継続していたが、学生の頃に書いた小説を誰かに見せたことはないと明かす。
今回の企画が始まったきっかけは、以前に朗読劇の脚本を書いた際、「小説を意識して、セリフや会話以外の文を多めに書きました」と話したことだった。その話を聞いた事務所のマネージャーが「小説を書きたかったの?」と聞いてくれたという。その後、書きためてきたショート作品をKADOKAWAの編集者に読んでもらい、「小説を出してみましょう」と返事をもらって企画がスタートした。
本書はガールズラブコメディだが、わちゃわちゃしたガールズラブコメディという構想は最初からあったという。エンディングなどの展開も考えていたが、書いていく中でキャラクターたちの心が成長し、別の形になったと語る。ガールズラブコメディを書こうと思った理由については、10代の頃に声優を志してからさまざまな作品に出会い、百合小説も書いてみたいと思うようになったと説明。その魅力について「女の子同士の思いの柔らかさや雰囲気、ビジュアルとしても美しく、ときには艶めかしいところが重なり合うことに上品さがある」と話している。
キャラクター名と装丁へのこだわり
メインキャラクターの名前には、それぞれ込めた思いがある。犬甘ゆらは、タイトルの文字を苗字に入れたいと思い「甘」を、わんこっぽい部分から「犬」を使い、「ゆら」は揺らぐ心のイメージで付けた。美雪姫奈は、きれいさを出したかったので苗字を「美雪」にしたが、実は好きな女性アイドルの名前から取っているという。
執筆中に登場人物の声を特定の誰かと想像することはなかったと赤尾さんは話す。「考えてしまうと、本人たちのことを知っている分、また少し違う感情が生まれてしまうなと思い、そこは切り離して考えていました」と理由を明かした。
完成した本については「この重さ、重厚感がすごくいいですね」と語り、帯にはお友達や先輩、大切な人たちの名前が載っていて「とても大切な一冊になった」と実感を込めた。四六版の重厚感は電子書籍では味わえない感覚で、最後の数ページをめくるドキドキも紙の本ならではだと話す。
装丁には最初の打ち合わせで「ちょっと装丁にこだわりたくて……」とリクエストしたそうで、その要望に寄り添った仕上がりになったという。表紙は館田ダン先生のイラストがすてきで、編集部が提案した周りを覆う枠によって女子校感が出ていると評価。「手に取りたいな、家で飾りたいなと思ってもらえたら嬉しいですね」と語った。
タイトルの『甘い制服をまとって』は、最初に付けたものがそのまま採用された。マシュマロというキーワードと、イースターや体育祭のイベントでうさ耳や体操着などかわいらしい服をまとうという意味が込められている。最初は「まとって」が漢字表記だったが、KADOKAWAの編集者からひらがなの方が柔らかさや甘さが伝わるかもと提案され、ひらがなにしたという。
今後の展望と推しポイント
今後について、赤尾さんは声優と小説家の並行を続けたいと話す。「声優は今まで演じさせていただいたたくさんのキャラクター、これからも演じるキャラクターたちがきっと待ってくれているので、大切に向き合い、みなさんに喜んでいただけるようにと思っています」と述べた。
小説についても「チャンスをいただけることがあれば、また書きたいですね」と語り、『甘い制服をまとって』に関しては「続編ができればこういうことしてみたい、中等部の名前が出ていない二人を活躍させたいなど、構想が膨らんでいます」と明かした。イラストがすてきだったことから、全キャラクターのイラストを見たいという気持ちもあふれているという。
本書の推しポイントについて、赤尾さんは「中・高と女子校で育ってきた私が書く、リアルなところも織り交ざったガールズラブコメディのライトノベルです」と説明。「肌と肌が触れ合ったり、心と心が触れ合ったりする場面ももちろんありますし、いろいろな関係性が散りばめられているので、百合好きの人は絶対に楽しめるはずです」と語った。百合作品を見たことがない人にも、主人公のゆらちゃんがどう決断していくのかという10代の心の変化から何かを感じてもらえるのではないかと期待を寄せ、「私の作品が日々の小さな発見につながったり、何かを行動するきっかけになれば嬉しいです」と締めくくった。
赤尾ひかるさんは6月16日生まれ、埼玉県出身。主な出演作はテレビアニメ『こみっくがーるず』(18)、『えんどろ~!』(19)、『炎炎ノ消防隊』(19)、『ゲキドル』(21)、『中禅寺先生物怪講義録 先生が謎を解いてしまうから。』(25)など。第16回声優アワード新人女優賞を受賞している。初の著書『甘い制服をまとって』(KADOKAWA)が現在発売中だ。



