水中探検家・伊左治佳孝、命懸けの潜水と仲間の死に向き合う姿勢に称賛
水中探検家・伊左治佳孝、命懸けの潜水と仲間の死に称賛

MBS・TBS系ドキュメンタリー番組『情熱大陸』(毎週日曜23:00~)が2024年6月21日に放送した水中探検家・伊左治佳孝さんへの密着企画が、視聴者の間で大きな反響を呼んでいる。SNS上では「水中探検家としての生き方に矜持を感じた」といった称賛の声が多数寄せられた。

前人未踏の水中世界に挑む若きプロフェッショナル

伊左治さんは、太平洋に浮かぶ絶海の孤島・南大東島の巨大水中洞窟の発見や、玄界灘沖の水深80メートルに眠る沈船「常陸丸」の潜水調査など、水中世界で「前人未踏」を切り拓き続けている。その活動の基盤となるのが、洞窟や深海などの極限環境に挑む高度な潜水技術「テクニカルダイビング」だ。彼はこの分野の若きプロフェッショナルとして知られている。

しかし、伊左治さんは潜ること自体が好きなわけではないという。「探検をした先で見つけたものを、誰かと共有したい」と語り、命をかけてロマンを追い求める従来の探検家像とは一線を画す。

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異色の経歴:医大から自営業、そして水中探検家へ

伊左治さんの経歴は異色だ。医大に進学したものの医師にはならず、自営業の道を歩んだ。常に「自分ならではの役割は何か」を模索する中でテクニカルダイビングと出会い、誰も到達したことのない水中世界を切り拓くこの技術こそ自分の果たすべき役割だと確信し、「水中探検家」を名乗り始めた。

彼は自宅を持たず、インストラクターとして収入を確保しながら、探検や講習で赴く先のホテルを転々とする生活を送っている。その住まいの一つで、彼は「人間には愛される軸と評価される軸がある。僕は評価される軸へと踏み切った」と語った。危険な場所へ潜る際には必ず遺書をしたためるという。

長生炭鉱の潜水調査と悲劇

2024年、伊左治さんは前代未聞の調査に乗り出した。かつて山口県宇部市で操業していた海底炭鉱「長生炭鉱」だ。戦時中の1942年に発生した水没事故により、朝鮮半島出身者を多く含む183人が亡くなった。市民団体による遺骨収容が進展していないことを知り、伊左治さんは潜水調査に名乗りを上げた。

視界がほとんどない水中で、先の尖った鉄片によって防寒用の潜水スーツが裂かれたこともあった。決死の潜水調査の末、昨年8月には韓国人ダイバーによって初の遺骨収容が実現。今年2月にも海外のダイバー仲間たちと共に大規模な潜水調査を実施し、新たな遺骨収容が叶った矢先、悲劇が起こった。ダイバーの1人が調査中に意識を失い、命を落としたのだ。

この事故に対し、伊左治さんはあえて淡々とコメントした。「僕たちは潜水のプロとして自分の判断と技術で、誰かに強制されたわけじゃなく潜っている。それをプライドに思っている。責任を他に持っていくのはダイバーとしての彼への尊厳を損なうことだと思う」

仲間の鎮魂と新たな探検へ

事故後、伊左治さんは日本最大のカルスト台地・秋吉台の巨大地下水系への探検を開始した。そこには、この地で亡くした仲間の鎮魂の意味もあった。自ら買い取ったという彼の遺品を前に、伊左治さんは「一生かけてもやりきれないほどある。(まだ行けてない場所がたくさんあるので、僕の水中探検家としての道は)終わらないですね」と語り、秋吉台の地下へと潜っていった。

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X(旧Twitter)では、「水中なんて逃げ場がない。本当にすごいことをやっている」と偉業を讃える声や、「その生き方に矜持を感じる」「友人が寂しがり屋と語っていたがそうは見えない生き様」「愛される軸と評価される軸…確かに」「淡々と語る言葉の中にアツい信念と、彼の水中探検家としての矜持を感じて感動した」「これは録画案件」など、その生き様に憧れ、自らを振り返るコメントが溢れた。

この放送は、TVerで見逃し配信されている。次回6月28日の放送では、給食の食べ残しが実に9割近くも減った小学校の栄養士・松丸奨さんに密着する。