OSK日本歌劇団(大阪市)は、直木賞作家・今村翔吾の歴史小説を原作とするミュージカル「幸村を討て」を、8月27日から30日までグランフロント大阪・ナレッジシアター(大阪市北区)で上演する。徳川家康が大坂の陣で自身を追い詰めた真田幸村の実像に迫る戦国ミステリーで、幸村と家康の2役をOSKトップスター翼和希が演じる。原作者の今村翔吾と翼が、見どころや幸村の人物像を語った。
原作の魅力:感情のジェットコースター
翼は「原作を2度読みました。感情のジェットコースターに乗っている気分で、舞台と通ずるものがある。点と点が最後に一本の線につながっていく流れが楽しい」と語り、「原作ファンの期待に応えられるよう、全力で演じたい」と意気込む。
今村は「池波正太郎先生の『真田太平記』を小学5年の時に読んで歴史が好きになった。思い入れの強い作品です。幸村と彼を取り巻く人間模様をミステリーに仕立てることで、今までにない小説に仕上がりました」と解説する。
ミュージカル化への驚きと期待
ミュージカル化の話を聞いた時、今村は「最初は驚きました。視点人物が入れ替わる作品で、舞台にするのは難しいだろうなと思った」と振り返る。しかし「幸村にはどこか役者っぽい雰囲気があり、ミュージカルは意外とフィットするのではないでしょうか。物語の97%ほどが大阪を舞台に進むので、OSKでやってくれるのはありがたい」と期待を寄せる。
翼は「幸村が命を懸けて真田家を大事にしたように、私も全力でOSKを後世につなぎたいと思っているので、勝手に親近感が湧きました。やると決めたら猪突猛進だというのも似ています」と語る。
幸村の人物像と家康の印象
今村は「幸村はスターです。大坂の陣という戦国時代の『千秋楽』で、並み居る武将の中で頭一つ抜けた存在になった。反対に、家康は関西人に嫌われていますよね」と指摘する。
歌やダンスの見どころについて、今村は「翼さんが主題歌を歌う様子を見て、鳥肌が立ちました。姿勢と目線がとにかく良い。昔ダンスの講師をやっていたので、技術力の高さが分かります。自分で踊るのはあまり上手じゃなかったですが」と称賛。翼は「踊りは、気持ちと技術があって初めて観客に表現が伝わると思っています。『ダンスのOSK』と言い続けてもらえるよう努力します」と応じる。
公演への思いと巡り合わせ
今村は「基本的に口を出さずにお任せするのが流儀です。ただ、やるからには一緒に盛り上げたい。執筆活動にも良い刺激になるので、今回も観客の一人として楽しみにしています」と語る。
翼は「大阪の歌劇団が大阪の劇場で大阪が舞台の作品をできるのが、すごい巡り合わせだと思います。舞台上で幸村、家康として生き、2役を演じていることを気付かせないぐらいの表現ができたらいいなと思います」と抱負を述べた。
公演は各日午前10時、午後2時の2回公演(8月27日は午後1時と同5時)。問い合わせは☎06・6251・3091。原作小説「幸村を討て」は、徳川家康が大坂の陣で戦った真田幸村という武将について、何者だったのかを解き明かすストーリー。家康の本陣まで攻め込んだ幸村が投げたやりはわずかに外れ、幸村は笑みを浮かべて去る。戦に勝った家康は「わざと外したのだ」という疑念が消えず、真相を探るため、ゆかりの人物への聞き取りを始める。小説は関西の書店員らが選ぶ「第13回大阪ほんま本大賞」を受賞している。



