フジテレビは7日、4月期連続ドラマ『夫婦別姓刑事』(主演:佐藤二朗、橋本愛)の撮影をめぐる一連のトラブルについて、詳細な経緯を公式に公表した。同局は、外部弁護士による調査結果を踏まえ、佐藤二朗の言動をハラスメントと評価。同時に、SNS上で拡大した当事者への誹謗中傷や憶測に基づく情報発信について謝罪した。
トラブルの発端と経緯
事の発端は、週刊誌『文春オンライン』が1日、佐藤二朗の共演者に対するハラスメント行為を報道したこと。これに対し、佐藤の所属事務所は「到底受け入れることはできません」と反論。佐藤自身もSNSで「数々の『ほんとうのこと』が、明らかになる日が来ることを、切に祈ります」と投稿していた。ドラマは4月14日に放送開始、6月23日に最終回を迎えていた。
出演条件と情報共有の経緯
フジテレビの説明によると、橋本愛への出演オファー時、橋本側から「キスシーンやベッドシーンがある場合、事前相談の上でインティマシーコーディネーターを関与させること」が条件として提示された。日常動作に伴う接触は問題ないとされ、同局は本作にそうしたシーンは想定されていないと説明した。その後、橋本側の「演技上の配慮事項」を佐藤側に共有するかどうかについて、橋本の所属事務所はフジに判断を一任。フジは佐藤のマネージャーに伝えたが、マネージャーは「本人に伝えると演技に影響が出る」として、佐藤本人には伝えないよう意向を示した。
撮影中の接触と問題化
2026年3月22日の車内撮影で、台本にない形で佐藤が橋本の顔に触れる場面があった。フジは「この接触をセクシャルハラスメントとして問題視するものではない」とし、橋本側も同様の認識を示した。しかし、女性俳優の所属事務所社長がフジプロデューサーに「配慮事項を佐藤に伝えているか」確認。プロデューサーは伝わっていない可能性を説明し、その日のうちにマネージャーを通じて佐藤本人に伝えるよう調整。翌23日朝、プロデューサーが直接佐藤に伝えた。
楽屋での発言とハラスメント認定
佐藤は橋本と直接話したいと申し出、橋本の楽屋を訪問。その場で佐藤は「演技に制限があるなら事前に言うべき」と発言。その後、関係者を交えた話し合いで身体的接触の範囲について合意したが、4月8日、佐藤が再び橋本の楽屋を一人で訪れた。そこで佐藤は「あなたの過去の被害は不幸なことだが、身体接触に制約があることは事前に言うべき」「制約を設けるなら俳優の仕事を続けるべきではない」などと発言。橋本は激しく動揺し、涙が止まらず撮影に支障をきたした。
外部弁護士の調査と環境調整
フジのコンプライアンス部門は外部弁護士に調査を依頼。弁護士は、佐藤の発言内容や口調、橋本の受けた精神的衝撃を総合的に判断し、「一連の言動はハラスメントと評価される」との見解を示した。フジはこれを受け、佐藤に対し、橋本への連絡は事務所社長またはプロデューサーを通じて行うこと、演技以外での接触を最小限にするなどの環境調整を実施。撮影中止も選択肢として用意したが、橋本の強い責任感と佐藤の翻意もあり、継続した。
謝罪と今後の対策
フジは「関係者の心理的負担を軽減できなかった」「当事者間の関係修復に至らなかった」ことを謝罪。今後、コンプライアンス研修の強化や、制作現場での情報共有・相談体制の見直しを進めるとした。また、SNS上の誹謗中傷や憶測に基づく情報発信を控えるよう呼びかけ、両俳優・両事務所との話し合いを継続し解決を目指すとしている。



