尾道市立美術館で猫の彫刻が正式入館
犬や猫、熊やネズミなどの動物を木で表現する彫刻家、はしもとみおさんの展覧会が、尾道市立美術館(尾道市西土堂町)で開催中だ。猫の町や森、海、古代、宇宙など7つのコーナーを「旅する」ように巡りながら、木の中から動物の命を彫り起こしたような数百点の作品に出会える。特に注目は、警備員との攻防で世界中に同美術館の名を知らしめた猫2匹が、彫刻として“鎮座”し来館者を迎えている点だ。
阪神大震災が転機に
「子どもの頃は獣医師になりたかった」というはしもとさんは15歳の時、兵庫県尼崎市で阪神大震災に遭った。近所の犬や猫は残らず姿を消したが、庭のクスノキだけは切っても切っても大きくなり、生命力にあふれていたという。それ以降「命を形に残したい」と彫刻家を目指し、現在は三重県いなべ市にアトリエを構え、クスノキを素材に動物を彫っている。
猫たちに呼ばれて尾道へ
2024年秋、市立美術館に入ろうとする猫と、丁重に退去させる警備員との攻防を知り、「猫たちから呼ばれるように」尾道を訪ねた。黒猫で翌年天国へ旅立った「ケンちゃん」、茶トラで現在は家猫の「ゴッちゃん」の2匹をスケッチ。毛並みや息遣い、身のこなしまで再現するかのように彫刻刀を振るった。
正式なオファーで展示
梅林信二館長は「今回は正式に美術館から入館をオファーした」といい、クスノキ製の2匹は警備員の手で丁重に運び込まれた。はしもとさんは「ケンちゃんはスケッチが進むにつれ打ち解けてくれた。(彫刻として)安定感のあるゴッちゃんは、ここでゆっくり触ってもらえる。木のぬくもりも含め、命を五感で感じてもらえたら」と話す。
展覧会概要
9月6日まで。大人1000円、高大生600円。中学生以下無料。休館は月曜と7月21日。問い合わせは市立美術館(0848-23-2281)。



