テレビ朝日系の長寿番組『徹子の部屋』(月〜金 後1:00)は29日、28日に訃報が発表された歌手で俳優の美輪明宏さんを追悼する「緊急追悼」特集を放送した。番組では、美輪さんが生前に出演した過去の貴重な映像を通じて、その功績と人柄を振り返った。
85歳当時の貴重な対談
特に注目されたのは、2021年に美輪さんが85歳で出演した回の映像だ。長年親交のある黒柳徹子との対談で、美輪さんは自身の人生を総括するかのような言葉を残していた。
黒柳から「今、やり残したことはありますか?」と問われると、美輪さんは「やり残したことはもう、自分に関しては何もないですね」と即座に断言。さらに「幸せだったかもしれませんね。どん底まで落ちたり、這い登ったり、いろんなことやってきましたけど、幸せでしたよ」と力を込めて語った。
この答えに黒柳が「私もそう思います」と同感すると、美輪さんは「あなたはそうよ。だって恋愛もたくさんしましたって週刊誌に…」とニヤリ。黒柳も「そうよ」と笑い返し、長年の友情がにじむやりとりを見せた。
理想の人間像には「丸反対」
続いて黒柳が「自分の理想の人間像に近づいていると思う?」と尋ねると、美輪さんは「いや、丸反対。なんてもうどうしようもない人間だろう」と笑って見せた。この謙虚な姿勢に、視聴者からも共感の声が上がったという。
番組の最後は、美輪さんが「幸せな人生ですよね」とほほ笑みながら語る映像で締めくくられた。その穏やかな表情が、多くの人の心に残ったことだろう。
91歳で老衰のため永眠
美輪さんの訃報は、所属事務所オフィスミワの公式サイトで発表された。それによると「突然のご報告となりますが、弊社所属の歌手で俳優の美輪明宏が、六月二十日午前九時三十分、老衰のため九十一歳で永眠いたしました。生前は多くの皆さまから格別のご厚情を賜り、いつも温かく支えていただきましたこと、本人ならびに弊社社員一同、心より感謝申し上げます」と記されている。
波乱万丈の人生
美輪さんは長崎県出身。16歳でプロの歌手となり、銀座のシャンソン喫茶「銀巴里」を拠点に、クラシック、シャンソン、タンゴ、ラテン、ジャズと幅広いジャンルを歌い、注目を集めた。1957年にリリースした「メケメケ」が大ヒット。また、日本におけるシンガーソングライターの元祖とも称され、「ヨイトマケの唄」など数多くの楽曲を自ら作詞作曲した。
歌手活動のみならず、舞台、映画、テレビ、講演、執筆と多岐にわたって活躍。2012年には77歳でNHK紅白歌合戦に初出場を果たし、話題を呼んだ。その独特の世界観と哲学は、多くのファンに愛された。



