まじめに働いてきた人ほど、知らず知らずのうちに「幸福度を下げる思考」にとりつかれているという。この思考を捨てなければ、孤独な老後が待ち受ける可能性がある。こう警鐘を鳴らすのは、落語家の立川談慶氏だ。立川氏は昨年還暦を迎え、人生の荒波を乗り越えるための「割り勘思考」を提唱する。また、明治大学教授で言語学者の堀田秀吾氏は、世界の名門大学の研究を基に、幸福感を高める社会的比較のコントロール術を解説。さらに、京都大学教授の内田由紀子氏は、地域のつながりが幸福に与える影響を大規模調査から明らかにした。プレジデントオンラインで人気を集めたこれら3本の記事から、幸せになる方法を探る。
「割り勘思考」で人生の荒波を乗り越える
立川談慶氏は、人生には病気や仕事の壁、大切な人との別れなど、予期せぬ困難がつきものだと指摘する。そうした逆境を一人で抱え込まずに乗り切るために有効なのが「割り勘思考」だ。これは、問題を他者と分担し、しなやかに対処する考え方である。立川氏は、100年以上生き残る道具にたとえながら、この思考法の重要性を説く。まじめな人ほど「自分で何とかしなければ」と責任を背負い込みがちだが、それがかえって幸福度を下げる原因になるという。
社会的比較をコントロールして幸福感を高める
堀田秀吾氏は、幸福感の正体に科学の視点から迫る。スタンフォード大学、ケンブリッジ大学、イェール大学などの研究を基に、幸せを感じやすい人が実践しているのは、社会的比較のコントロール術だと解説する。自己肯定感が低くなりがちな日本人にとって、他人との比較を上手にコントロールすることは、気分を安定させる重要なヒントとなる。堀田氏は、無意識に行っている日常習慣の中に、幸福感を高める「ずるい」方法があると述べている。
地域のつながりがもたらす幸福効果
内田由紀子氏の研究では、西日本の集落を対象とした大規模調査から、住んで幸福になりやすい町の特徴が明らかになった。地域内部の信頼関係の強さは、閉鎖性をもたらすのではなく、むしろその地域への愛着を高め、移住者にも受け入れられる基盤となる可能性があるという。内田氏は「内部のつながりの強さは、地域への愛着を育み、幸福度を向上させる」と述べている。この結果は、地域コミュニティの重要性を再認識させるものだ。
これらの知見は、人生後半を幸せに過ごすための具体的な方法を示している。立川談慶氏の「割り勘思考」、堀田秀吾氏の社会的比較のコントロール、内田由紀子氏の地域のつながり――これら3つの視点は、いずれも幸福度を高めるために実践可能なアプローチである。この夏、自分にとっての幸せの形を考えてみるきっかけになるだろう。



