中西圭三、デビュー35周年コンサートへ「ぼよよん行進曲」制作秘話語る
中西圭三、35周年コンサートへ「ぼよよん行進曲」秘話語る

1990年代に「Woman」や「You And I」をヒットさせた中西圭三が、61歳の今年、デビュー35周年を迎えた。9月13日にキャリアの集大成となる記念コンサートを行う。卓越したメロディメーカーとして、ZOOからEXILEと歌い継がれた「Choo Choo TRAIN」やブラックビスケッツの「Timing」なども作曲。2000年代には『おかあさんといっしょ』で「ぼよよん行進曲」など童謡も手掛けた。35年を振り返ってもらいながら、ブラスやストリングスも含めた15名編成のバンドで臨む今回のコンサートについて聞いた。

マンホールからのデビューと三枚目キャラ

35年前のデビュー曲「タンジェリン・アイズ」のMVでは、マンホールから姿を現していた。中西は「当時は特に何も考えず撮っていましたけど、最近YouTubeで改めて観ると、なぜマンホールから出てくる展開なのか、不思議な感じもします(笑)」と振り返る。「でも、これも運命づいているというか、最近いろいろな街でマンホールの写真を撮っていたんです。帰巣本能でマンホールに帰ろうとしているのか? と冗談めかしながら(笑)、しみじみと観ています」と語った。

デビュー当時の売り出し方について、中西は「マンホールから出てきて、三枚目な感じだったと思います。歌詞の世界も失敗しながら健気に頑張るスタンスで、そういうキャラクターとしての描かれ方はされていたようです」と振り返る。音楽的には「興味の幅がすごく広くて、1枚目のアルバムではフォーキー、ダンサブル、ポップ……とあって。その中から、たくさんの方に聴いてもらえるような楽曲も生まれていきましたけど、世の中のイメージ以上に自分にはやりたいことがいっぱいあると、色濃く出たアルバムでした」と話した。

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プロになってから始めた曲作り

作曲を始めたのはプロになってからで、「大学の音楽サークルの卒業コンサートで記念にオリジナルを作ったくらいで、事務所に所属してプロになってから曲作りを始めたという、不思議な経歴です(笑)」と明かす。大学の先輩の池田聡さんのように歌えて曲も作れるようになりたいとプロデューサーに伝えたところ、「じゃあ、書いてこい」と言われたという。音楽理論は学ばず、「頭に浮かぶままの感覚だけ」と語る。

デビュー前から作曲家活動をしていた中西は、時代の変わり目に立ち会っていたという。「ミネアポリス発のムーブメントで、突然跳ねるリズムが誕生して。ニュー・ジャック・スウィングと呼ばれるもので、リズムと音楽とダンスが合わさって吹き上がる瞬間に、立ち合えているワクワクがすごくありました」と当時を振り返る。ZOOとの出会いについては「自分は踊れないけど、心を踊らす音楽を彼らがダンスで表現してくれる。そういう状況が時代とピタッとマッチしたのは、奇跡的だった気がします」と語った。

「Woman」と「You And I」のヒット

デビュー2年目の92年にヒットした「Woman」は、もともとシングルを狙った曲ではなかったという。「2枚目のアルバムに入れる曲として、全体の中でこんなのもあればいいなと作って、シングルにするとか一切狙っていませんでした。それが『Choo Choo TRAIN』が大ヒットした影響で、急きょタイアップが決まったんです」と説明する。「カメリアダイアモンド」のCMソングになり、クライアントからの提案で“女性輝く”というテーマになり、売野雅勇さんが歌詞を全て書き直したという。

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翌年にも「You And I」が二度目の「カメリアダイアモンド」CMソングになりヒット。中西は「実は『Woman』より先にできていたんです。プロデューサーに『いい曲が10個できたらアルバム』と目の前にニンジンをぶら下げられて、生まれた中の1曲でした」と振り返る。その後の苦しみについては「瞬発力で曲を作ってきましたけど、ストックがたくさんあったわけでなく、名前を知られた分、ハードルが上がってプレッシャーもあって。追われるような時間だったかもしれません」と語った。

ミレニアムに考えた時間と『おかあさんといっしょ』

1999年から2000年にかけて、サンフランシスコで1年間の休業をした。「プライベートのこともあって事務所からも離れて、自分で考える時間を必要としていました」と中西。現地でワールドツアーに出るミュージシャンたちが地元のお祭りで幸せそうに音楽をやる姿を見て、「ビジネスということでなく、地元や子どもたちのために音楽で貢献できたらいいなと思って日本に帰ったら、導かれたように『おかあさんといっしょ』でお仕事をするチャンスをいただきました」と語る。

「ぱわわぷたいそう」という体操の曲を歌わないかと誘われ、「1も2もなくイエスとお答えしました」と中西。その先に毎月の歌のコーナーに曲を書かせてもらえることになり、「一世一代で作ったのが『ぼよよん行進曲』です」と明かす。子ども向けの童謡でありつつ「どんな大変な事が起きたって」「押しつぶされそうな そんな時だって」など大人にも響く歌詞について、「子どもたちに言ってあげたいテーマでありつつ、自分自身もそう思うべきというところで、リアルな言葉が生まれました」と語った。

35周年コンサート「Beyond The Melodies」

今年4月の35周年記念ビルボードライブは「Beyond there」、9月のかつしかシンフォニーヒルズでは「Beyond The Melodies」と題された。中西は「いろいろなワクワクの力を借りて生み出してきた楽曲たちが、30年を経た今も聴いていただいている。共有してきた時間を噛み締めながら、その先へ行こう。そんな夜になればいいな、ということですね」と想いを語る。

ストリングスも含む編成のバンドで臨むことについて、「今まで一度もなかった形ですけど、これがやりたかったんだよね、という。フィラデルフィアが大好きで、生で弦まで入った編成でないとできないことを、一緒に楽しみたいです」と話す。長年の盟友・小西貴雄さんがサウンドを組み立ててくれたといい、「アレンジのデモを聴いて、この曲がこうなるんだとビックリしながらワクワクしています」と明かした。

ゲストとの共演と今後の活動

ゲストの米倉利紀さんとは「米ちゃんの周年ライブに、僕が呼んでもらったこともあって。今度はぜひ、この35周年のタイミングで、久々に『非情階段』を一緒に歌いたいなと」と語る。もう1人のゲスト、荒牧陽子さんとは去年の昭和100年コンサートで楽屋で初めて会い、「岡山の同郷ということは知っていて、その後、35周年に何かできないかという中で、一緒に歌いたいとお話しさせていただきました」と話す。荒牧さんについては「ものまねも素晴らしいし、耳がいいから歌のうまさが半端ないです。すごいポテンシャルのボーカリストだなと感じていました」と評した。

今後の活動については「自分のスタンスはずっと変わらず、お声掛けいただいたご縁を手繰りながら、できることをやっていく。最近は被災地支援のプロジェクトも入って、楽曲を一緒に作ったり提供することも含め、積極的に取り組んでいます」と語る。能登では珠洲でのフェスに参加したことも明かし、「自ら旗を振るタイプではないですけど、自分の役割を見出しながら、少しでも力になれることをやっていこうと思います」と締めくくった。

記念コンサート「Keizo Nakanishi 35th Anniversary Concert “Beyond The Melodies”」は、2026年9月11日(金)に、かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホールで開催。開場18:00、開演18:30。ゲストは米倉利紀、荒牧陽子。