フリーアナウンサーの直川貴博さん(32)が、メイクや美容好きであることを公言し、明るく親しみやすいキャラクターで注目を集めている。「私の個性が、誰かおひとりの生きやすさにつながれば」との思いで、日々テレビカメラの前に立つ。
フリー転身から1年半「毎日が刺激的」
フリーになって約1年半が経過した。直川さんは「ありがたいことに忙しく日々を送っていますが、それだけお仕事をいただけるというのは、うれしいことです」と振り返る。
元々は客室乗務員を志していたが、大学生の頃にタレントのマツコ・デラックスさんがテレビ番組で「芸能活動を通して、いつか誰かの救いになれるかもしれない」という趣旨の話をしているのを見て、考えが変わった。幼い頃から仮面ライダーよりもプリキュアが好きで、思春期にはメイク道具に憧れていたという。そんな個性に悩んだ時期があるからこそ、「テレビ局という組織から認められて表舞台に送り出されることで、誰かのお役に立てないだろうか」と考え、2017年に福島中央テレビ(中テレ)に入社した。
基礎を磨き、地域の良さを経てフリーへ
新人時代は個性を出すよりも、アナウンス技術の基礎を身につけることに力を入れた。記者やディレクター業務も経験し、「伝える」ことはアナウンサーに限らないと感じたという。経験を積むうちに「これまでとは違った視点で、様々なニュースに触れたい」と思うようになった。一方で、地域のネタを深く掘れるのは地方局ならではの役割でもあり、退社するか否か悩んだが、「やらずに後悔するぐらいなら、挑戦してめちゃくちゃ後悔しよう」と、2025年4月にフリーとなった。
フリーになって初めて臨んだ日本テレビ系「news every.」の初日、共演する鈴江奈々キャスターが「これからは私たちが仲間だからね」と声をかけてくれた。直川さんは「泣きそうになるくらいうれしかった」と語る。「共演するキャスターや一緒に番組を作るスタッフみんなから学びを得て、修業しています。どう伝えたらいいのか、みんなで考えて届ける。毎日が刺激的です」と話す。
個性を出すことが誰かの役に
中テレ時代、お孫さんの個性に悩んでいたという年配の方から「直川さんを見て孫を少しずつ受け入れられるようになってきた」という声をいただいた。当事者ではない立場からの声に驚き、「こういう役立ち方があったんだ」と実感した。当事者のそばにいる方に届くことは、回り回って当事者の生きやすさにつながると考え、「アナウンサーという仕事を選んでよかった」と感じた。
「誰かおひとりの生きやすさのために働きたい」という思いは変わらない。現在も、テレビを通して見てくれる全員が自分の個性を受け入れているわけではないと理解しつつ、「個性を出すことに少しの怖さはありますが、個性で悩んでいるどなたかに、ご自身を肯定してもらえるエッセンスになれていたらいいな」と思っている。出演中の番組やイベントを大切にしながら、ラジオや書き物なども通して、伝え手としてのアプローチを模索していきたいと語る。
取材後記:人に寄り添う優しい目線
中テレ時代から現場取材を重ねてきた直川さんは、「1件でも『取材を受けてよかったな』と思ってもらえることが原動力」と語る。また、「一つでも他では話していないことを紹介したい」と、取材する側への気遣いも忘れない。明るい笑顔と、様々な立場の人に寄り添った優しい目線が、多くの人の生きやすさにつながっている。