「ブスの本懐」から10年、雨の東京で傘を失くすもホテルの親切に救われる
「ブスの本懐」から10年、雨の東京で傘を失くすもホテルの親切に救われる

「狂って凍った街」こと「凍狂」だが、最近は1か月以上雨が降り続いているらしく、どっちにしても狂っている。奇しくも今年春、私が東京に行った時も雨が降っており、私は駅から宿泊予定のホテルまでノーガード徒歩を決め込んでいた。

「ブスは傘を差さない」から10年

「ブスは傘を差さない」——私が約10年前のコラム本に書いた一節であり、今なら炎上しているかもしれない。だが当時は多くのブスから「そういや差さんわ」とご賛同をいただいた。あれから10年、あの時のブスは今もブスだろうか。

ブスは雨の方が避けるため濡れない、という意味ではなく、多少の雨なら傘を差さないなど、ちょっとした横着の積み重ねが見た目のだらしなさに出る、という話だ。もちろん私も傘を差さない。ヴィーガン提唱者がケンタに居るのを見られるわけにはいかないように、私もブス傘発案者として傘を差すわけにはいかない、と思っているわけではなく素であまり差さない。

だが、その理由には面倒なだけではなく「どうせなくす」も含まれている。どうせ傘を買ったとてすぐになくすのだ、つまり「どうせ失うなら最初からいらない」というサウザー様理論の後継者でもある。

雨の東京で傘を失くす

この日は、明らかな雨の中、両手をフリーにして現れた担当作家を異様に思った担当編集が別れ際に傘を持たせてくれたのだ。そしてホテルがある駅についた時、私の手に傘はなかった。ブスに傘を渡す時はその場で手に溶接までしなければ意味がない。編集者というのは気が利いているようでまるで利いていない連中なのである。

雨足は強くなる一方だが途中で傘を買うという選択肢はない。買ったところで翌日ホテルに寄付して帰るだけだろう。ようやくホテルに着いた時、フロントの女性はこちらを怪訝そうに見ていた。確かに夜中にブスが雨水を滴らせながら入ってきたら、まず人間か怪異かを判定しなければならない。

悪霊退散の気配を感じ咄嗟に「傘がなくて」とエクスキューズを出したところ「良かったら使ってください」とフロントに置いてある傘を案内してくれた。とても親切である。だがブスにそんな気遣いは無用だ。

古いホテルでスマホ充電できず

チェックインを済ませると「こちらがカギになります」と部屋番号が書かれた巨大なプラスチックの棒がついた鍵を渡してくれた。最近は「鍵です」と言いながらカードを渡してくるところがほとんどだが、このホテルは有言実行かつ質実剛健であり、文字通り鍵穴に差すタイプの鍵である。

良く言えばレトロ、悪く言えば「これで一万円か」の古いホテルだったのだが、泊まるだけなら特に問題ない。ただUSBコンセントがなかったことによりスマホが充電できず、翌日羽田空港まで残り18%を死守するチキンレースを開催することとなった。

作家によって取るホテルをランク分けしており、私がTierEだからこうなっているわけではない。そうだったら金太郎のフラットマット席など、もっと差がついているはずだ。

インバウンドにより宿泊費高騰、そもそも空き部屋がないため、逆にたまに上京してくる日本人が面食らうことになってしまっているのだ。だが、日本人は1億2千万人、そのうち30%が老でこれからもっと老が増える。それに比べ世界には80億人以上がいる。商売としてどっちを向いていくべきかは明らかである。

CLIP STUDIOの素材大量非公開問題

「ブスの本懐」からもう10年とは…そんなわけで現在、セルシスの漫画制作ソフトCLIP STUDIOの素材が大量に取り扱い停止になるなどして混乱が続いている。

CLIP STUDIOではユーザーが制作した3Dデータやポーズなどをポイントで売買できるのだが、それらが過剰にセンシティブであるなど、ガイドラインに反している場合は運営の判断で非公開にされることがある。しかし、今回大量に非公開にされた素材の中には、ブラシやトーンなど、これをセンシティブと言うなら、まずお前のツラを非公開にしたほうがいいんじゃないですかと言わざるを得ないほど、基準が不明だったのだ。

これにはCLIP STUDIOの海外ユーザー激増が関係しており、国によってセンシティブ判定が違うため、このような事態が起こったのではないかと言われている。しかし「このGペンの描き味がエロすぎる」としてセンシティブ判定されるような国は漫画自体が発禁だろう。パソコンにCLIP STUDIOなんかが入っていると知れたらむち打ちでは済まない。

海外ユーザー対策だとしても、あまりにも基準が謎な上、有償で購入した素材までもが使えなくなるのはどうしたことかと批判が相次ぎ、運営側も基準が曖昧だったと認め、購入済の素材は再ダウンロードを可能にするなど、対策に追われているようだ。

今回はセンシティブ判定自体がワールドワイドすぎたせいで批判されたが、今後も海外を意識しての使用制限は増えていくのかもしれない。実際以前も、日本のアダルトコンテンツを扱うサイトで海外クレジットカードが使用できなくなることもあった。しかしそれでアダルトコンテンツを扱うのをやめたかというと、じゃあ海外クレカは諦めて、日本で使える決済方法を勧めていく、と判断したところも多い。

最近海外の方を向きがちな日本だが「HENTAI」コンテンツに対してはまだ大和魂を捨てていない。セルシスが今後どのような対応を取っていくか魂の見せどころである。