海外配信プラットフォームが高いMG(最低保証金)を支払いたいと考えるアニメは、業界関係者のほとんどがほぼ同じ答えを返すという。「異世界転生バトル」「悪役令嬢」「成り上がりバトル」「日本要素の強いバトル」の4ジャンルだ。
最近のアニメのラインナップには「異世界」「生まれ変わり」「転移」「最強」「追放」「悪役令嬢」「無双」「レベル999」といった単語が入ったタイトルが大量に見られる。SNSでは「また似たような設定だ」「テンプレばかり」といった声も上がるが、製作側が新しいジャンル発掘を放棄しているわけではない。海外で値段がつき、確実にビジネスが回るから成立しているのだ。
「なろう系」が海外で特に強い理由
ジャンルとして特に強いのが、小説投稿サイト『小説家になろう』から人気が広がった「なろう系」だ。異世界転生やチート能力、追放、成り上がりといった要素をもつ作品を指し、現在では深夜アニメ市場の巨大ジャンルになっている。ランキング上位100作品(原作)の多くが次々とアニメ化されている。
もう1つ海外で圧倒的に強いのが「日本要素の強いバトルもの」だ。忍者や日本刀、妖怪、呪術、巫女、武士といったいかにも「日本的」なモチーフをもつ作品で、海外ファンが日本アニメに求めている「日本らしさ」は、海外視聴者にとって非常にクールに映る。和風の建築、漢字、忍者の印を結ぶ動作などは、日本でしか作れない世界観だ。
『NARUTO』が稼ぎ続ける理由と原作枯渇の問題
代表例としては『NARUTO‐ナルト‐』『BLEACH』『呪術廻戦』『ダンダダン』などが挙げられる。実際、テレビ東京の海外アニメ収益を長年支え続けている代表的IPの1つが『NARUTO‐ナルト‐』で、連載・本放送が終わっているにもかかわらず、どのアニメよりも稼ぎ続けている。
新作アニメが次々と生まれるなかでも、海外売上ランキングでは上位に名を連ねる。これは業界内では常識で、「最新ヒットを作る」だけではなく、10年、20年、世界で稼ぎ続けるIPを育てることが非常に重視されている。
そして現在、問題になり始めているのが、値段がつきやすい原作の枯渇だ。特に「なろう系」は、ランキング上位作品の多くがすでにアニメ化されているため、業界全体が「海外で値段がつくジャンル」を探し続け、作り続け、ついには掘り尽くし始めている状態だといえる。



