1776年7月4日の独立宣言採択から、アメリカ合衆国は今年で250周年を迎えました。建国250周年を祝い、「America250」を公式ブランドとして、記念飛行やコンサート、花火大会などさまざまな祝賀行事が開催され、愛国心が盛り上がっています。米国ファッション界も商品の至る所に星条旗のマークを付けるなど、お祝いムードでいっぱいです。
ラルフ・ローレン監修の記念切手やウエスタンルックが人気
夏、冬の10大会連続でオリンピックの公式ユニフォームを手がけた国民的デザイナーのラルフ・ローレンは、米国郵政公社の記念切手シリーズ「アメリカン・アイコンズ」を監修しました。星条旗やエンパイアステートビル、ハンバーガーなど、アメリカの歴史や文化を象徴する13種類のビジュアルで構成された切手は魅力的で、限定版ということもあって大人気です。「1776」や「2026」の刺繡や記念切手の図柄をあしらったセーターやブーツ、Tシャツ、キャップなども人気を呼んでいます。
そして、なんといっても一番の人気は、ワークウエアやテンガロンハット、ブーツ、ウエスタンシャツなど、ウエスタンルックです。19世紀の西部開拓時代はファッションも生活環境も劇的に変化しました。映画やテレビドラマによく取り上げられるのも、白人移住者が西部へ進出し領土を広げたこの時代ではないでしょうか。ゴールドラッシュ、大陸横断鉄道、フロンティア精神、カウボーイ、ガンマン、先住民迫害…。そんな言葉で語られる時代は、粗暴である一方、希望と活力に満ち、ファッションは実用的でありながら、男性性と女性らしさをきっちりと分けたデザインに変化しています。
各ブランドが「ワイルドウエスト」を表現
中でも、カウボーイの日常着であったウエスタンシャツは現在も愛用されるアイテムの一つ。今年は建国250周年という節目もあって、パリのケンゾーをはじめ、メンズでもレディスでも胸元にパイピング(縁取り)を入れ、刺繡を施したウエスタンシャツが洗練された着こなしで提案されたり、ニューヨークのアルチュザラでは、毛布のような野性的なフリンジ(房飾り)をスカートの裾につけたりと、さまざまに「ワイルドウエスト」を表現しています。
ワイルドという意味では、機能性も兼ねてスエードやレザーなど耐久性に優れ、着れば着るほど味わいが出る素材や、カウボーイに欠かせなかったローハイド(革製のズボンカバー)も、シルバーに刻印を押したボタン使いなどで登場し、当時を偲ばせます。
女性らしいデザインや先住民の柄も
一方では、素朴ではありますが、女性らしいデザインが目を惹きます。パリのクロエは、ハンドメイドのような刺繡のブラウス、堅実な感じの小さなフリル、マキシ丈のギャザースカートなど、派手ではありませんが、優しく愛らしいアイテムが当時の女性らしさの意味を物語ります。また、ラルフ・ローレンの切手にもあるように、先住民のナバホ族のカラフルな柄や大きなブランケット柄がモンクレールのケープコートなどに象徴的に使われ、エスニックさを醸し出します。
建国250周年にあたる2026年の米国ファッションには、激動の西部開拓史を映し出すアイデアが目白押し。ニューヨークやパリなど粋の頂点にあるコレクションにも、アメリカの存在感の強さを改めて感じさせました。



