原材料費や物流費、人件費が上がれば、企業が値上げを検討するのは当然です。しかし、コスト上昇分の転嫁だけで利益を守れるとは限りません。
客は原価高騰の事情に配慮することはなく、売場やEC上で実際に買う価格で判断します。コンビニ、ドラッグストア、スーパー、自動販売機、ECまで、すべての販売チャネルが同一商品の比較対象です。
実質賃金の動向と値上げの背景
所得環境は転換点にあります。厚生労働省の2025年分確報では、現金給与総額による実質賃金は前年比1.3%減で4年連続のマイナスでした。一方、同省が2026年8月5日に公表した6月速報では、現金給与総額は前年同月比3.4%増、実質賃金は1.6%増となり、実質賃金は1月から6カ月連続で前年を上回りました。
したがって、2026年の日本を「実質賃金が上がっていない」と一括りにするのは正確ではありません。6月までの状況を見る限り、2026年は上昇傾向にあります。
値上げの可否は所得環境の改善だけでなく競争価格と価値で判断
値上げの可否は所得環境の改善だけでなく、足元の競争価格と客が受け取る価値から判断する必要があります。
そこで、2026年4月から5月、東京、大阪、福岡の自動販売機、コンビニ、ドラッグストア、スーパー、ディスカウントストア、ECで、同一容量の価格を調査しました。ここから見えてきたのは、同じ商品でも価格は1つではなく、エリアとチャネルの組み合わせによって大きく動くという事実です。
これは企業側も生活者側もある程度は認識していることかと思いますが、あらためて具体的な数字にしてみると、大きな差があることが分かります。
同じ商品でも価格差は約1.7倍のケースもあります。



