2027年春夏シーズンのミラノ・パリ・ファッションウィークが9月下旬から10月上旬に開かれた。世界的な気候変動を背景に、多くのブランドが軽くて薄い服を提案しつつ「らしさ」を突き詰め、試行錯誤していた。
薄くて軽い服の提案と伝統ブランドの挑戦
歴史ある有名ブランドを率いるデザイナーは、伝統にあぐらをかかず、いかに新しさを吹き込めるかを常に考えている。特にジョナサン・アンダーソンが率いるディオールからは、舞台裏の奮闘が伝わってきた。
今シーズン、普段は構築的なジャケットやスーツをつくる「タイユール」と呼ばれるアトリエの職人が、柔らかなドレスやブラウスを手がけるアトリエ「フルー」の仕事を手がけたという。オートクチュール(高級注文服)とウィメンズとメンズのプレタポルテ(高級既製服)、すべてのデザインをアンダーソンが手がけているからこそできた試みだ。
シャネルの刷新と演出の変化
若手から古参まで、職人によって仕事の進め方も、強みやこだわりも異なるだろう。それでも、アトリエを横断したものづくりに挑戦し、職人の熟練の手仕事を発展させ、新しいデザインを生みだそうとする心意気に心を動かされた。
シャネルもまた、1年前にデビューしたマチュー・ブレイジーが、ブランドイメージをより若々しく刷新中だ。軽くて伸縮性のある素材「スモッキングツイード」を新たに開発し、ブランドの代名詞のスーツを仕立てた。シャネルらしさを残しながらも、現代の女性にフィットする着心地のよさを追求していた。
ショーの演出も変化している。かつては招待された観客だけが会場に入ることができたが、今シーズンのパリコレでは、会場周辺で高校生によるデモが行われ、ラグジュアリーと日常の「距離」が浮き彫りになった。記者はその現場から、ファッション業界と社会の隔たりを実感した。