「Go, walk with Noto」開始 Trip.comが被災地の旅を復興支援に変える新ジャンル
「Go, walk with Noto」開始 Trip.comが被災地観光を支援

世界有数のオンライン旅行代理店(OTA)であるTrip.com(トリップドットコム)は、石川県能登町で「Go, walk with Noto 〜旅が復興支援になるHope Tourismプロジェクト〜」を開始した。金沢のラグジュアリーホテル(ホテル日航金沢)や地元ホテルと、地震で全壊した後にトレーラーハウスとして再起を図る能登町の酒蔵・珈琲店などを結び付け、地域の歴史やストーリーを価値に変える体験型プランの販売を始めた。

被災地への関心が薄れる中、現地の声

2024年1月1日の能登半島地震から、約2年半が経過した。現在も復興への取り組みが進む一方で、全国的に被災地への関心が薄れつつあり、現地からは「支援だけでなく、実際に訪れてほしい」という声が多くあると、高田氏は語る。

高田氏は「私自身、前職で石川県を担当していて、仕事で何度も能登を訪れました。そのうちにこの地域に強くひかれ、プライベートでも家族と足を運ぶようになりました。キリコ祭りをはじめとする文化、豊かな食、そして地域の皆さんの温かさに触れ、能登は私にとって大切な場所になりました。その能登を地震と豪雨が襲い、地震後も現地へ通い続ける中『観光に携わる私たちに何ができるのか』『どのタイミングで、どんな形で取り組むことが地域にとって本当に意味を持つのか』をずっと考え続けてきました」と述べた。

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特別宿泊プランと体験型プログラム

Trip.comでは7月27日より珈琲店と、ホテル日航金沢の特別宿泊プランを販売している。日本酒「大慶山」などの銘柄で知られる珈琲店は、地震によって酒蔵や自販機が全壊。現在も、別の酒蔵で製造する自社の日本酒などを、トレーラーハウスの仮店舗で販売する。

「今回のプロジェクト第1弾で、Trip.com限定の特別宿泊プランを販売しています。ホテル宿泊に加え、能登の食材を使用した特別会席、日本酒の飲み比べなど、金沢に宿泊しながら能登の文化や魅力、その背景にあるストーリーに触れていただける内容です」としている。

海外からの需要は倍増以上、受け入れ体制に課題

石川県への関心度は海外市場で急増している状況だ。Trip.comの自社データによれば、石川県を訪れるインバウンド旅行者は、韓国や台湾、シンガポールで前年比の約2.7倍、マレーシアで約3倍、米国で約2倍に達したという。ホテルだけでなくレンタカー予約など周辺サービスの利用も増え、インバウンドが能登へ立ち寄る可能性が高まっている。

海外マーケットからの需要は高まっている一方、この熱量をいかにして金沢市から能登へ流し込み、現地側の受け入れ体制とつなげるかが課題だ。高田氏も「現地情報の整備や受け入れ体制の準備が重要」と指摘する。

能登町の寺田徳衛町長は「今までの2年半は、良くも悪くも、住まいの再建などで手がいっぱいでした。今やっと事業者の皆さんが懸命に営業再開や再建に取り組み、観光も少しずつ受け入れられる環境が整ってきています。能登を訪れて食や自然、そして復興へ向かう今の姿をぜひご覧いただきたい。地域の魅力を発信していただくことが、復興への大きな力になります」と、能登への訪問を呼び掛けていた。

ホテル日航金沢の山岸総料理長も「石川県の宿泊は今も金沢市がメイン。1泊だけでなく2、3泊して能登へも足を運んでもらえるようにしたい」と語っていた。

持続可能な「新・旅行ジャンル」を目指して

珈琲店の店主、金指正子氏は「今までとても観光どころではなかった」と振り返る。2025年9月に店を再開したものの、日本酒の製造は地震発生直後から救いの手を差し伸べてくれた他の酒蔵で行い、店舗は現在もトレーラーハウスでの営業が続く。

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7月の中旬には、高田氏をはじめとするTrip.comの社員130人が、能登町へ向かった。復興途上の和菓子屋の視察や珈琲店での甘酒(かれき)試飲など、涙を流してボランティア活動に励んだ。現場の問題や事業者の生の声を取り込む「超・現場主義のフィールドワーク」としての側面も持つ。珈琲店の金指氏も「また聞きではなく、現場に来て肌で感じてもらえるのが何よりありがたい」と言う。

Trip.comは、ボランティアや社会貢献活動(CSR)で終わらせず、一度の訪問をリピートや周遊へと変えていく「LTV(顧客生涯価値)型モデル」をいかに構築するのか。高田氏らは、復興支援を持続可能な「新・旅行ジャンル」として成立させるための取り組みを進めている。