夏休みの宿題の定番である作文。何をどう書けばよいか悩む人も多いだろう。読売新聞社主催の「全国小・中学校作文コンクール」と、読売新聞社主催・あんしん財団共催の「こども作文コンクール」では、9月中旬まで作品を募集中だ。
二つのコンクールの成り立ち
「全国小・中学校作文コンクール」は、終戦から6年後の1951年に「綴方コンクール」として始まった。戦中の誤った教育を見直し、敗戦で荒廃した社会を立て直すきっかけにしたいという思いがあったとされる。初代審査員には作家の川端康成や児童文学者の坪田譲治らが名を連ねた。
一方、「こども作文コンクール」は2014年に小学生を対象にスタート。「はたらく人を応援する」「『ありがとう』感謝の心を、未来につなぐ。」を副題に、身近なはたらく人への感謝、あこがれの仕事や夢、わたしの町、の三つのテーマで募集する。共催するあんしん財団は、中小企業の発展や福祉増進を目指す一般財団法人で、作文を通じて働くことを考えるきっかけにしてほしいという思いから共催を決めた。
作文を書く意義とコツ
作文指導では「見たこと、感じたことを書けばいい」と言われることもあるが、単に「~を見ました」「~と思いました」と書くだけではよい作文にはならない。大切なのは考えることだ。最初に何について書くかを考えるのは当然として、自分は何者か、自分と学校や社会、世界との関係はどういうものか、と考えることがより重要になる。
昨年の「第75回全国小・中学校作文コンクール」中学校の部で最高賞を受けた愛知県の女子生徒の作文「私もあなたもそのままで」は、アメリカで差別の現実を経験し、その体験を振り返りながら「自分にとっての普通は誰かの普通ではない」などと記した。自分自身と向き合いながら他者や社会に目を向け、それを文章にすることで深みが生まれる。短く勢いで書けるSNSの文章が広がる現代では、思考を深めながらつづる作文の意義は大きくなっている。
大人にとっても示唆に富む
子どもたちの作文は大人にとっても示唆に富む。コンクール開始年の1951年末に刊行された作品集の小学生編の巻末で、審査員だった波多野完治・お茶の水女子大教授は「大人のもっている、ありきたりの考えのワクをはなれ、子供自身の目で物を直接にみているところに価値がありました」と述べた。子どもたちが日々感じていることは、親子の会話や教師と児童・生徒の会話では知り得ないことがあり、作文から浮かび上がることがある。作文は子どもたちが己を知り世界を捉える手段であると同時に、大人が子どもの心や世界を知る助けにもなる。
応募方法と締め切り
両コンクールへの二重応募はできないが、それぞれに応募することは可能。応募規定の違いから選ぶとよい。「全国小・中学校作文コンクール」はテーマ自由で、読書感想文や創作も可。小学校低学年は400字詰め原稿用紙10枚以内、高学年は20枚以内、中学校は30枚以内。締め切りは9月14日(必着)。「こども作文コンクール」は三つのテーマから一つ選び、400字詰め原稿用紙3枚以内。締め切りは9月11日(当日消印有効)。両コンクールの昨年の優秀作は電子書籍化され販売中で、参考にできる。



