墨田区などが主催する総合芸術祭「すみだ五彩の芸術祭」が9月4日に開幕する。区主催の芸術祭は23区初で、福祉や歴史などをテーマに、100を超えるプログラムが開催される。
区内50か所以上が会場に
芸術祭は、区民の誇りを育み、地域の活性化を図ろうと初めて企画された。12月20日までの約4か月間、区内のギャラリーや寺院、商店街や工場跡地など50か所以上が会場となる。国内外で活躍するアーティストが関わる自主企画と、全国から寄せられた公募プログラムなどがある。世界的に活躍する日本画家・千住博さんが描いた絵画の展示などのほか、現代アーティストらによる映像、演劇やダンスなどが楽しめる。
「街の記憶を上書きせず、歴史とつながる」
企画の責任者を務める千葉大教授の神野真吾さん(58)は、「地域の歴史や経済、文化を知ってもらい新たな街の魅力に気づくきっかけにしてほしい」と意気込む。千葉市の芸術祭でも総合ディレクターを担った経験のある神野さんがエグゼクティブディレクターを務める。下町・墨田区で開催する目的について、「街の記憶を上書きして忘却するのではなく、歴史とつながって今があることを伝えたい」と力を込める。
区内には、国際的に人気を集める相撲に加え、ネジや革製品、伝統工芸品といった物作りの文化が根付く。関東大震災や東京大空襲を経験し、その都度立ち上がってきた歴史も踏まえ、芸術祭には「何もないところに、よそから作品を持ってくるようなやり方ではなく、すでにあるものに化学変化を起こすようなことが期待される」と語る。
地域資源を生かした体験型プログラム
地域の文化や歴史について、改めて関心を持ってもらうため、商店街や工場跡地などを会場にし、その場でしかできないプログラムを開催していくという。タイトルの「五彩」は、「墨に五彩あり」という水墨画の世界の言葉からとった。隅田川や祭りなど、様々な地域資源があり、多彩で豊かな街の姿を表現した。
プログラムの中には、手足を使って絵の具で大きな作品を描くワークショップや町歩きイベントのほか、ダンボールを使って大きな力士を作り、土俵をたたいて競い合わせる企画など、鑑賞するだけでなく、体験できるプログラムも用意されている。
開幕日は「梅若伝説」を題材にした演目も
開幕日の9月4日は、同区に伝わる物語で、歌舞伎の演目に取り入れられている「梅若伝説」を題材にした戯曲ダンスの披露や、障害者アーティストの作品の展示などが行われる。無料で鑑賞できる作品展示のほか、チケット制のイベントなどが開催される予定だ。
神野さんは「様々なジャンルの作品があるので、まずは体験してほしい。通勤や買い物のついでにふらっと足を延ばしてみるなど、普段行かないエリアに行くきっかけにしてもらいたい」と話している。



