尼崎にインバウンド客増加、城と漫画で観光都市へ変貌する「アマ」の新たな魅力
尼崎にインバウンド客増加、城と漫画で観光都市へ変貌

兵庫県尼崎市に宿泊する外国人旅行者が増加している。大阪や京都、神戸へのアクセスの良さと割安な宿泊費が背景にある。かつて「工業地帯の労働者のまち」として知られた尼崎は、今、観光都市への変貌を遂げようとしている。

再建された尼崎城がシンボルに

阪神電鉄尼崎駅から徒歩約10分の場所に、2019年に再建された尼崎城がそびえる。江戸時代に徳川幕府が西の守りとして重視した城で、明治時代の廃城令で取り壊されたが、地元出身の家電量販店創業者の寄付により復元された。鉄筋コンクリート5階建ての天守からは、尼崎の街を360度一望できるほか、侍や姫の衣装を着て写真撮影ができるコーナーや、歴史を学べる映像コーナーも備える。城の西側には「寺町」エリアがあり、城下町の歴史的な街並みを散策できる。

漫画ギャラリーと商店街の魅力

市が観光の中核に据えるもう一つの施設が、尼子騒兵衛漫画ギャラリーだ。アニメ「忍たま乱太郎」の原作漫画「落第忍者乱太郎」の原画が、元小学校の建物を活用して展示されている。作者の尼子騒兵衛さんは尼崎生まれで現在も在住している。また、阪神尼崎駅北側には長い屋根付きの商店街が複数あり、下町の活気を味わえる。地元のソウルフード「尼崎あんかけチャンポン」は、労働者に愛されてきた熱々でボリューム満点の一品だ。

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インバウンド戦略と課題

尼崎市商業観光課課長の村井大輝さんは「アジア中心から欧米、中東にターゲットを広げ、幅広くインバウンドを呼び込みたい」と語る。市は尼崎独自の観光拠点づくりを目指し、大阪観光局との人事交流も今年開始した。2025年度の外国人宿泊者数は約2万3000人で、コロナ禍後の2022年度の約6700人から毎年増加している。国・地域別では中国が最多で、韓国、米国、台湾が続く。大阪へは阪神電車で10分、JRで5分とアクセス良好で、市内ホテルより安価なため大阪観光の拠点として利用されている。しかし、市内の宿泊施設は約10施設と限られており、受け入れ能力の向上が課題だ。

在住外国人も増加、共生社会へ

市のダイバーシティ推進第2担当課長の神崎宏治さんによると「尼崎市へ転入する方のうち、約半数が外国人」だという。2025年4月時点の外国人住民数は約1万6000人で、前年度の約1万4000人から増加。従来からの朝鮮半島出身者に加え、ベトナム、ネパール、フィリピン、ミャンマーなどからの住民が増えている。製造業や介護現場だけでなく、事務職や管理職として働く人も増え、家族も多く暮らす。市は外国人総合相談センターを直営し、多言語対応スタッフを配置。翻訳タブレットやSNSを活用した行政手続きの説明や生活相談、地域住民との交流イベント、日本語学習支援にも積極的に取り組んでいる。

未来への展望

尼崎市は、海釣り公園でライセンス不要で釣りを楽しめる点や、市内で継承される菰樽の技術、近隣の酒蔵と連携したガストロノミーツーリズムの可能性も模索している。城下町から工業都市へと発展した尼崎は、今、外国人旅行者が観光し、多国籍の外国人と共に暮らす新たな魅力を備えた街へと変貌を遂げつつある。

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