一関市博物館で、学芸員が周囲の支えによって形にした企画展「熊野信仰と一関―海からやってきた神様―」が開催されている。
「学芸員」という言葉には高尚で専門家のような響きがあるが、現実は異なる。同館では年に4回展覧会があり、在籍する学芸員4人がそれぞれ1回ずつ担当する。2回目の担当となった学芸員は、力不足を痛感。開催期日が迫る中、他の職員が業務を中断して準備を手伝う事態となり、連日の残業で意識はもうろうとし、業務は停滞。退勤後、車内からすぐに降りられず、翌日が来るのが恐ろしかったという。食事すら苦痛になっていた。
周囲の厚意が支えに
そんな状況を救ったのは周囲の「厚意」だった。借受先や見学先は驚くほど協力的で、相談に耳を傾けてくれた。館内でも、受付や清掃のスタッフ、会計年度職員が気遣って声をかけてくれた。
学芸員は、計画のずさんさや「肩書だけの学芸員」という自己嫌悪にとらわれていたが、展覧会は一方的に学術内容を伝えるのではなく、地域や館内の人々との「つながり」と協力があって初めて形になるものだと気づいた。孤立していたのは自身の心の方だったという。
協力者に感謝しきれないと語る学芸員。多くの温かい手に支えられ、ようやく展覧会を開催することができた。



