5人組グループ・SUPER EIGHTの安田章大と俳優・のんがダブル主演を務める映画『平行と垂直』が8月28日から公開される。初めて企画から参加し、自閉スペクトラム症(ASD)の兄・大貴を演じた安田に話を聞くと、多くのスタッフやキャストを巻き込んだ制作過程を通じての気づき、安田が普段から大切にしている仕事に対する姿勢、そして作品へ込めた想いが浮かび上がった。
企画の発端は山野海氏との出会い
今作は安田が劇団ふくふくやを主宰し俳優としても活躍する山野海氏のオリジナル脚本に感銘を受け、旧知の佐藤現プロデューサーに持ち込んだことから企画が始動。そこに企画に共鳴した小林聖太郎監督も加わり、ASDの専門家に監修を仰ぎながら約2年をかけて脚本を練り上げた。
物語は、現在は清掃の仕事に就き、周囲のサポートを受けながら自立した生活を送る兄の大貴と、カウンセラーとして働きながら兄を支えてきた妹の希(のん)。2人の生活は変わることなく続くと思っていたが、希の結婚話をきっかけに、お互いのこれからに向き合うことになる。
「言葉には意味がない」という感覚
山野海氏との出会いについて、安田は「『あとはご自由に』というレギュラー番組でご一緒しました」と振り返る。「『どうしてそんなに間を怖がらないんですか』と聞かれたので、『逆に、なぜ間が怖いんですか』と返したんです。僕は、言葉そのものにはそれほど説得力はないと思っています」と語る。
完成した脚本を読んだ第一印象については「言葉そのものよりも、目の奥にある言葉や表情、しぐさ、空気、匂いなど、言葉にならない言語がたくさん描かれている作品だと感じました」と話した。
のんとの自然な兄妹関係
のんとの役作りについて、安田は「打ち合わせは特にしていません」と明かす。「のんちゃんは脚本をしっかり読み込み、自分が感じたことを希として表現してくれました。それに対して僕が芝居を返し、さらにその反応を受けてのんちゃんが返してくれる。そのラリーの積み重ねだったと思います」と撮影現場を振り返った。
「少しずつ会話を重ねていくことで、兄妹としての見えない絆や距離感は自然と生まれてくると思っていました。兄妹としての愛憎、愛情だけでない愛憎を表現できたら、その関係性を丁寧に届けられたらいいなと思っていました」と語る。
「嘘をつかない」「こなさない」仕事への姿勢
人と一緒に仕事をする上で大切にしていることを聞かれると、「嘘をつかないこと」と即答。「作品に関わる皆さんには、集客率や視聴率など数字のことも、予算のことも、小さなトラブルも含めて、全部教えてほしいと伝えています。時には『そこまで首を突っ込まないでください』と煙たがられることもあります。それでも、知らせてください、と話させていただいています」と明かす。
「プロの仕事」については、「どんな仕事でも、慣れてくると『自分はできている』と勘違いしてしまいます。その先にあるのが、『こなす』という状態です。だから、まず『こなさないこと』が大切です。そして、一生懸命であることを忘れないこと。一生懸命やっている人の背中は、必ず誰かが見ています」と持論を展開した。
その考えに至ったきっかけについては「自分の場合は病気がきっかけだったと思います。自分の中に謎の渦まきがでてきているとき、説明できないモヤモヤとした感情が生まれたとき、それは感謝を忘れていたり、何かをこなしてしまっていたりするサインなのではないかと思います」と語った。



