2022年に亡くなった映画監督・脚本家の石井隆さんが遺した脚本を映画化した『雨のエトランゼ』が、12月4日よりテアトル新宿ほかで公開される。あわせて、2種類のティザービジュアルと特報映像が解禁された。
作品概要
本作は、石井隆が1970年代に発表した劇画を自ら脚本化し、晩年まで病床で推敲を重ねた「幻の脚本」を、城定秀夫監督が映画化したエロティック・ノワール。愛と孤独、エロスとタナトスが交錯する中、一人の女性と彼女に魅せられた二人の男の運命を描く。
主人公・土屋名美を演じるのは、本作が映画初主演となる井筒しま。名美に惹かれていく編集長・村木役を東出昌大、フリーカメラマン・川島役を毎熊克哉が務める。
ストーリー
物語は、とある撮影スタジオから始まる。サブカル雑誌編集長の村木は、人気女優・仁科陽子の過去を問われたことをきっかけに、3年前、モデル募集に応募してきた大学生・土屋名美との出会いを思い返す。名美はフリーカメラマン・川島の暴走をきっかけに村木と心を通わせるが、ある出来事から姿を消してしまう。そして、それぞれの運命は大きく狂い始める。
キャストコメント
主演の井筒しまは、次のように語った。「生きていて良かった」と毎日思っていました。名美と向き合う時間はとにかく生きること自体に精一杯で、いつもギリギリを生きている感覚でした。周りの人は当たり前のように真っ直ぐ歩いていくのに、自分はどれだけ必死になっても真っ直ぐには歩けない。一歩ずつ、歪にしか進んでいけない。名美を生きるのはそんな感覚でした。彼女を通して、私自身の中にある弱さや汚さにも沢山気付いてしまった。けど、このために生きてきたんだと思うくらいずっと幸せでした。チーム全員で作品に向かっていく力強さと誠実さの中でお芝居ができて、とにかくうれしかった。信頼できたから飛び込めた瞬間が何度もありました。この作品と、関わるすべての方に心から感謝しています。
東出昌大は、主演オーディションについてこう振り返る。「石井隆作品の主人公『名美』はファムファタルであらねばならない。私も参加したスタッフ会議で一同そう話し合い、主役オーディションを開催する運びとなった。オーディションには素敵な女優さんが数多く参加して下さり、素敵なお芝居の瞬間もたくさんあった。だが、井筒しまは特質だった。彼女が演技を始めると、なんてことない会議室が映画世界になった。愛しい人を見つめる横顔、本音を隠したまま微笑んだ時間、相手の心を掻き乱す言葉、全てが切実で妖艶で、名美だった。彼女を主演に迎えて突き進んだ今作、関係者一同が彼女で良かったと今も考えています。令和の名美を、お楽しみになさってください。」
毎熊克哉は、「石井隆さんの世界を城定秀夫監督が撮る。こんな面白い企画に声をかけていただき、喜んで参加させていただきました。これまで何度も映画をご一緒させていただいている城定監督のもとで、"石井さんならどう撮ったのかな?"と想像しながらシーンを重ねていくのも楽しかったです。雨や人間から発せられる湿度の高さと、どこか寂しげな空虚が映画的な魅力を放っている、そんな作品になっているかと思います。ぜひスクリーンでご覧ください。」とコメントしている。
城定秀夫監督は、次のように述べている。「今の時代に本作を作る理由は何か?」そんなことを聞かれました。恐らくはこれからも聞かれると思います。でも、僕にとっては時代もなにも関係ありません。「石井隆の漫画と映画が昔から好きだから」理由はそれだけです。渡された脚本は極めて石井隆的であると同時に自分には極めて難しいもので、「これ、石井監督が撮ったやつでみたかったな……」などとも思ったのですが、迷うことなく引き受けました。断る道理がありません。石井隆ですから。とはいえ、映画は愛だけでは作れません。解釈を問おうとしても作者は雲の上です。苦難は多く、石井監督に叱られるようなことをしでかしてしまっているかもしれませんが、僕なりに精一杯、死力を尽くし戦ったつもりです。みてください。



