セドリック・クラピッシュ監督の最新作『モネと時間旅行』(2026年9月18日公開、配給:セテラ・インターナショナル、協力:ユニフランス)の本編映像が公開された。
本作は、19世紀と現代を舞台に、ベル・エポックを生きた謎の女性アデルを巡る物語。監督は『スパニッシュ・アパートメント』(2002)や『ダンサー イン Paris』(2022)で知られるクラピッシュが務め、自身が愛してやまない「19世紀のパリ」を映像化し、現代の物語と交差させながら、一枚の絵画に隠された謎を紐解く構造だ。
実在の芸術家たちが登場
2026年は印象派の巨匠クロード・モネの没後100年にあたるが、モネをはじめ、ルノワール、セザンヌ、写真家のフェリックス・ナダール、作家のヴィクトル・ユゴーなど、実在した芸術家たちが次々と登場する。オルセー美術館やオランジュリー美術館、モネの『睡蓮の庭』といった名作絵画や印象派の聖地も物語を彩る。
現代の主人公セブを演じるのは、カルティエのCM撮影でクラピッシュに見出されたアブラム・ヴァプレ。遺産の屋敷を捜索する賑やかで個性的な親戚には、『画家ボナール ピエールとマルト』(2023)のヴァンサン・マケーニュ、『最高の花婿』(2014〜20)シリーズのジュリア・ピアトン、『パリのどこかで、あなたと』(2019)などクラピッシュ作品でおなじみのジヌディーヌ・スアレムが名を連ねる。
若手俳優から名優まで豪華キャスト
19世紀の物語の主人公アデルには、名優ヴァンサン・ランドンとサンドリーヌ・キベルランの娘で、『スザンヌ、16歳』(2020)で監督・主演デビューを果たしたスザンヌ・ランドン。アデルのパリ滞在を支える友人アナトールに、イレーヌ・ジャコブの息子で『動物界』(2023)で話題になったポール・キルシェ、ルシアン役に『モンテ・クリスト伯』(2024)のヴァシリ・シュナイダー、ノルマンディーに残した恋人ガスパールに、第79回カンヌ国際映画祭『Coward(原題)』で男優賞を受賞したヴァランタン・カンパーニュら、若手俳優が起用されている。
さらに、セシル・ドゥ・フランスやオリヴィエ・グルメら名優、クラピッシュの熱望により出演し劇中でも歌を披露するミュージシャンのPOMなど、年代も様々なフランスの俳優たちの息の合ったアンサンブルが、家族のルーツを探る物語に心地よさと温かさをもたらしている。
公開された本編映像
今回公開された映像は、現代と過去――時代を超えて響き合うパリの風景を映し出す。ノルマンディーで祖母を亡くしたアデルは、自らの人生を前へ進めるため、20年以上会っていないパリに住む母を訪ねる決意をし、人生初の旅へ。船旅の途中で画家を志すアナトールと、写真家を目指すルシアンという二人の青年と出会う。
エッフェル塔や壮麗な建築物など、初めて目にする景色に胸を躍らせながら、アデルたちはセーヌ川を渡りパリの港へ到着。すると画面は、19世紀のパリから、カラフルなウェアをまとったランナーが駆け抜ける街並みや、オルセー美術館をはじめとする現代のパリへと、驚くほど自然に移り変わる。19世紀と現代がシームレスにつながり、時を超えて呼応するように描かれるこの場面は、本作ならではの見どころのひとつだ。
監督が語る制作秘話
本作について、監督のクラピッシュは次のように語る。
「共同脚本家のサンチャゴ・アミゴレーナと脚本を書き始めた当初は、1900年前後を舞台に、過去と現在を交互に描く構成を考えていました。ところが、執筆初日に『むしろ二つの時代を交互に見せるのではなく、一つの物語の中で溶け合わせた方が面白いのではないか』という結論に至ったのです」
その発想をどのように物語として成立させるかが大きな課題だったという。
「そこで考えたのが、一軒の大きな屋敷を相続する家族の物語でした。その家には19世紀の写真や絵画が数多く残されている。私たちが描きたかったのは、写真と絵画が異なる表現方法でありながら、同じ問いに向き合っているということです」
その問いとは、人が限られた時間しか生きられない存在でありながら、どのようにして自らの痕跡を未来へ残していくのかという普遍的なテーマだという。
「家族の歴史と、美術史における"表象"の変化を重ね合わせることで、写真、絵画、そして一つの家族の歴史が互いに響き合う物語になっていきました」
さらにクラピッシュ監督は、本作に込めた思いをこう続ける。
「私の近年の作品には、世代を超えて受け継がれていくものを描いた作品が少なくありません。本作もまた、その延長線上にあります。ただ今回は、それを絵画や写真が私たちに残してくれるものと結びつけながら描こうとしました」
変わり続けながらも変わらないパリの風景を舞台に、本作は過去と現在を鮮やかに結びつけながら、「人は何を未来へ残せるのか」という普遍的な問いを観る者へ投げかける作品となっている。



