実写版『モアナ』が新しくしたこと 歌うカニ支える現実感
実写版『モアナ』が新しくしたこと 歌うカニ支える現実感

ディズニー・アニメーション『モアナと伝説の海』の公開から約10年。その物語を生身の俳優によって描き直した実写版が、日本でも公開中だ。オリジナルへの愛着が根強い中、実写化によって何を新しく描こうとしたのか。監督を務めたトーマス・ケイルが、オンラインインタビューで制作の裏側を明かした。

実写化の意義と「再会」

ケイル監督は、実写化の意義について「ポリネシア文化を物語の中心に据え、ディズニーというスタジオとプラットフォームを通じて、世界中へ届けられること」と語る。10年前にアニメーション版を観た観客の年齢変化にも触れ、「10年前に観た人も、5年前に観た人も、あるいは昨年初めて観た人もいるでしょう。実写版を通じて、そうした人たちともう一度出会い、それぞれの今の人生に何かをもたらす作品を作れたらと考えました」と述べた。

現実感を重視した村の建設

ケイル監督が重視したのは、幻想を信じてもらうため、まず現実を作ること。モトゥヌイ島の村を実際に作り、物語を確かな現実の上に立ち上げることにこだわった。約10エーカー(約4万平方メートル)の敷地に5棟の巨大なファレ(小屋)を建設。周囲には250本以上のココナツヤシなどの熱帯植物が植えられ、大規模な給水設備も整えられた。建設にはハワイやニュージーランド、タヒチなどから調達した素材を使用し、釘や現代的な建築用具は一切使わず、ココナツの繊維から作られた素材で部材を固定・補強した。約200人の俳優が撮影に参加した。

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モアナ役の新人俳優

モアナ役に抜てきされたのは、本作が映画初出演となるキャサリン・ラガアイア。ケイル監督は「最初のオーディションで送ってくれたのは、『How Far I’ll Go』を歌う映像でした。それを観て、彼女の物語を伝える力にすぐ引き込まれました」と振り返る。撮影初日から「強い決意と細やかな心遣いを持って役へ向き合っていることが分かりました」とし、「彼女は最初からとても強く、パワフルな存在でした。監督である僕の役割は、その魅力をしっかりカメラに収めることだったと思います」と語った。

実写版ならではの工夫

物語の大筋はアニメーション版を踏襲しつつ、実写版では村の評議会の場面を追加し、村人たちに声を与えた。終盤では、航海から帰ったモアナが山頂で貝殻を置く場面を新たに描き、音楽や踊りを通じて村との関わり方が変化した姿を表現した。ケイル監督は「原作の物語と登場人物を信頼しながら、実写版では同じ要素を別の方法で自由に表現していくことを大切にしました」と語った。

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