高い演技力と美貌で将来を嘱望されながら、広島での被爆により32歳で亡くなった岩手県出身の俳優・園井恵子(本名・袴田トミ)の生涯をたどる映画の制作が、住民グループによって進められている。このほど、平成ウルトラマンシリーズなどを手がけた小中和哉さん(63)が監督を務めることが決まり、小中さんは21日、盛岡市愛宕町の墓を訪れて故人をしのんだ。
被爆の元ジェンヌ、園井恵子の生涯
園井は1913年、松尾村(現・八幡平市)に生まれた。岩手町で育った後、宝塚歌劇団に入団。タカラジェンヌとして活躍し、退団後は映画「無法松の一生」で名優・阪東妻三郎の相手役のヒロインを演じて脚光を浴びた。しかし戦時中に移動劇団「桜隊」として各地で慰問公演を重ねる中で、滞在中の広島で被爆し、志半ばで非業の死を遂げた。
「園井恵子を語り継ぐ会」の取り組み
こうした園井の人生を後世に伝えようと、県内外の有志らからなる「園井恵子を語り継ぐ会」は、園井の生涯を描く映画の制作を4年ほど前から進めている。命日にあたる21日は、同会のメンバーと小中さんが墓前に手を合わせ、墓がある恩流寺で法要を行った。小中さんは20日には同町などで、園井のブロンズ像や資料を見学しており、「戦時中の厳しい時代でも最後まで諦めずに夢を貫いた演劇人生や、戦争の恐ろしさを彼女の思いを通して伝えたい」と意気込んだ。
関係者の期待と映画の公開予定
同会の柴田和子会長(78)は「監督が決まったといううれしい報告をすることができ、特別な命日になった」と話し、佐々木光司町長(67)は「常に前向きに生きた彼女の人生から平和を築く大切さを学ぶことができる。映画を通して、末永く語り継いでいきたい」と期待を込めた。映画は2027年秋頃から撮影を始め、28年夏の上映を目指すという。



