芦澤明子、日本人初のアンジェニュー賞受賞を語る 「さとこはいつも」で沖田修一監督と再タッグ
芦澤明子、日本人初のアンジェニュー賞受賞 「さとこはいつも」で沖田監督と再タッグ

撮影監督の芦澤明子さんが、今年、日本人として初めて「ピエール・アンジェニュー・トリビュート」賞を受賞した。9月18日公開の映画「さとこはいつも」(沖田修一監督・脚本)は、その受賞後に公開される作品で、沖田監督との再タッグ作となる。芦澤さんは、映画撮影の世界的第一人者に贈られる同賞について、「新人賞をもらったつもり」と語り、今後の意欲を見せた。

日本人初の快挙、その喜びと驚き

「ピエール・アンジェニュー・トリビュート」賞は、フランスの光学機器メーカー、アンジェニュー社が2013年に創設した賞で、毎年カンヌ国際映画祭で授賞式が行われる。今年で13回目を迎え、これまでロジャー・ディーキンスやヴィルモス・ジグモンドら世界的な撮影監督が受賞してきた。芦澤さんは日本人として初めて、女性としては2人目の受賞者となる。

受賞理由について、芦澤さんは「最初は、アジア人であり女性だからとか、そういうところが強調されて選ばれたのかなと思った」と振り返る。しかし、アンジェニュー側に確認すると、「私がカメラマンを始めた時からの映画を見てくださっていて、その結果だと。それが一番うれしかったです。ちゃんと見てくれているんだと」と語った。

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また、「このアンジェニュー賞は、どちらかというと功労賞的なもの。でも、私は新人賞をいただいたつもり。『新人賞をもらったから、もう少しこの仕事やりますよ』みたいなことを言っているんです」と、今後の活動への意気込みを示した。

沖田監督との再タッグ、3人の「さとこ」を描く

芦澤さんは大学在学中に8ミリ映画作りをきっかけにプロの撮影の世界へ。1982年からコマーシャルフィルムのカメラマンとして独立し、94年から本格的に映画に取り組んできた。「トウキョウソナタ」「岸辺の旅」など黒沢清監督作品や、原田眞人監督「わが母の記」など、多岐にわたる作品を手がけてきた。

「さとこはいつも」は、沖田監督の長編デビュー20周年の節目に公開される作品。初めての恋を持て余す15歳の中井聡子(姫野花春)、仕事も不倫関係も行き詰まる35歳の西田沙都子(有村架純)、子育てが一段落し夢を再起動させる55歳の飯島里子(石田ひかり)――名前以外は共通点のない3人の女性が、それぞれの思いを文章につづり始めることで、物語が交差していく。

芦澤さんは「3人それぞれにチャーミング」と語り、特に有村演じる「35歳さとこ」については「今までになかった『ちょいワル』な感じもある役柄。すごく魅力的に撮れた、今までにない魅力が出ているんじゃないかな」と自信を見せる。姫野のインパクトのあるファーストシーンについては「沖田さんらしいですね。特にお芝居初めての姫野さんに対して、ああいう演出はさすが」と評した。

フレームの外を意識した画づくり

芦澤さんは、沖田監督が「描き出したいと狙っていることは、脚本に書かれていることの『外』にあることが多い」と話し、リハーサルや衣装合わせの際に監督のそばで観察していたという。「やっぱりカメラマンっていろんな情報がないと」と、その理由を説明する。

自身も撮影時には「フレームの『外』のこと」を大切にしている。「その『外』にあるもの、たとえば社会とのつながりまでも感じさせるような、フレームの切り方をしたいと思っています」と語る。好きな絵師として俵屋宗達を挙げ、「風神雷神図は絵が見切れているんだけれど、その見切れてるってことが大事。『その先に何があるかな』って思えるような画作りは割と気にしています」と、その哲学を明かした。

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沖田監督については、「皆さん、沖田監督は人に対して優しくて親切であるとおっしゃいます。それは事実なんですが、こと創作と自分に対してはすごく厳しい人だと思います。そこから生まれたいろんな笑いを多くの人に楽しんでもらいたいなあと思います」と語り、作品への期待を込めた。