ピアニストで作曲家の西村由紀江さんがデビュー40年を迎え、記念アルバム『ALL TIME BEST』(3枚組み)をリリースした。これまでの40枚のアルバムから各1曲を選び、新曲2曲を加えた全42曲を収録。ピアノとともに歩んできた軌跡を届ける内容となっている。
「日記を紡ぐように作曲」
アルバムは「40年を振り返る物語に」というコンセプトで企画された。ドラマ『101回目のプロポーズ』や映画『子ぎつねヘレン』の劇中音楽、昨年の大阪・関西万博会場で演奏した「幸せを運ぶピアノ」などを年代別に収録。楽器編成やアレンジからも時代の変遷を感じられるよう、当時の音源をそのまま使用している。
西村さんは「デビューの頃の不安から、だんだんと心が解き放たれて、今は最も充実した気持ちでピアノに向かっている」と語る。新曲「Energy(エナジー)」と「キ・ラ・リ」には「これからもいろんなことがあるけれど、きらっと輝く瞬間を逃さずに、一緒に歩いていきましょう」という思いを込めた。
AI活用の演奏動画も公開
ユーチューブで公開中の「Energy」の演奏動画はAI(人工知能)を活用。過去の写真を使い、年齢を重ねていく西村さんが一つの曲を奏でているように見せている。「その時々にはやった髪形やメイク、ファッションに挑戦していたのがわかる」と笑い、「みなさんの40年と重ねて楽しんでもらえたら」と話す。
豊中市出身、3歳でピアノと出会う
大阪府豊中市出身の西村さんは3歳でピアノに出会った。引っ込み思案だった子ども時代、言葉で伝えられないもどかしい気持ちをピアノで音にしたり、本の中の人物や景色を想像しながらメロディーを付けたりして遊んだ。自然に覚えた曲作りは「感情を音にしていく、私にとっては日記みたいなものだった」と振り返る。
1986年、桐朋学園大への入学と同時にアルバムデビュー。バブル期に向かって勢いのある時代、ピアノソロは「逆行している」とやゆされたが、バブル崩壊後には音楽に安らぎを求める人が急増し、「心が癒やされるヒーリング音楽」と好まれるように。「誰かに届けようと意識せず、日記を大事に紡いでいき、私の音楽を欲してくれる人に届けばいいなと思った」と語る。
学校や病院での演奏活動も
公演の傍ら、学校や病院での演奏活動にも力を注ぐ。故郷の豊中市では、4月に開校した義務教育学校の校歌も手がけた。
40年を思い返し、「勢いで弾けた若い頃とは異なり、一つ一つの音を大事にするようになった。いろんな人に出会い、人生を勉強して奏でる音は違う。年を重ねたからこそできる音色で深みのある演奏をしていきたい」と笑顔で語る。
8月に大阪でコンサート
8月29日には南港サンセットホール(大阪市住之江区)でコンサートを開催。ゲストは元宝塚歌劇団宙組トップスターの姿月あさとさん。午後4時30分開演。



