司馬遼太郎が『坂の上の雲』で真の主役に選んだ「軍神」乃木希典の本当の姿とは
司馬遼太郎が『坂の上の雲』で真の主役に選んだ軍神の姿

司馬遼太郎の代表作『坂の上の雲』は、正岡子規、秋山好古・真之兄弟を主人公に日露戦争を描いた作品として知られる。しかし、司馬さんがこの作品で「真の主人公」に据えたのは、別の人物だったという。新聞記者時代から司馬に兄事していたジャーナリストの青木彰氏が、その理由を著書『司馬遼太郎と三つの戦争 戊辰・日露・太平洋』(朝日文庫)で明かしている。

旅順攻防戦と乃木希典の役割

『坂の上の雲』で描かれる日露戦争は、陸軍が満州で展開した地上戦と、海軍による日本海海戦などに区分けされる。その地上戦のハイライトは、乃木希典大将率いる第三軍による旅順攻撃だった。

旅順攻防戦は155日に及び、ロシア軍の戦闘兵は約4万5千人、戦死者は約1万6千人。日本軍は10万人を投入し、死傷者約6万人、戦死者約1万5千人という甚大な犠牲を伴った。旭川に司令部をもつ第七師団などはほぼ壊滅したという。

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乃木を真の主役に選んだ理由

司馬さんは日露戦争を描くにあたり、陸軍の主題を203高地を中心とした旅順攻略戦、とりわけ乃木大将に置いた。小説の流れとしては秋山好古のコサックとの戦いが主題のはずだが、秋山好古は脇に置かれている。

青木氏は、司馬さんが乃木を真の主役に選んだ理由として、「乃木将軍は、明治に引き継がれた武士道の体現者であった点」を挙げている。この選択が『坂の上の雲』の中で最も重要なテーマになると指摘する。

この記事は、青木彰氏の著書からの抜粋であり、続きは次ページで展開される。

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