時事川柳の作り方のコツ 選者の今田久帆さんに聞く
時事川柳の作り方のコツ 選者の今田久帆さんに聞く

読売新聞静岡県版には「USO放送」「しずおか時事川柳」「よみうり文芸」「よみうり五行歌」の四つの文芸コーナーがあります。多くの読者に親しんでもらえるように作り方のコツや、楽しみ方を紹介します。初回は時事川柳選者の今田久帆さんに尋ねました。(大河原優人)

時事川柳とは

時事とは、その時々に起きている社会的な出来事や世の中の動きのことで、それらをテーマにした川柳が「時事川柳」です。

短歌は「57577」の31音からなり、主に1人で詠んでいましたが、奈良時代頃から「575」と「77」を交互に詠んでつないで連歌が生まれ、室町時代に流行しました。77音の前句(お題)に対し、575音の付句(答え)で楽しみました。

前句「切りたくもあり切りたくもなし」というお題に対して付句は「盗人を捕えて見れば我子なり」(切りたくもあり切りたくもなし)と続きます。「さやかなる月を隠せる花の枝」(切りたくもあり切りたくもなし)という付句などもあります。この連歌の付句(575)が独立し、江戸時代から俳句や川柳として楽しまれました。

発句(最初の575)は客人が詠むことが多く、様々な制約(季語、切れ字、文語体)があったものが俳句へとつながりました。川柳は特に制約はなく、人間模様やユーモアや風刺を口語体で自由に詠んでいます。

川柳を作るルール

川柳は「575」(文字の数ではなく音の数)のリズムを大切にします。8音や6音は句が重くなるので避ける。字足らずはリズムを崩してしまう。音数が多くなる時は最初(上5)に持ってきて次の75でリズムを整えます。川柳は575の一行詩なので、原則として5と7と5の間を1マス分空けません。色紙などに書くときは別です。

川柳は削ることにより行間を読ませ、17音字以上に広い世界を表現するものです。その行間を読ませるのにリズムが大切です。スパッと省略することによって生まれる「間」が想像力を広げ、共感を得やすくなります。

ただ、省略し過ぎると自分の思いが相手に伝わりません。あれもこれもと言いたいことを詰め込むと主体がわからなくなるのでご用心。

初心者向けのコツと題材

自分の言いたいことを明確にする。言いたいことを詰め込み過ぎると17音字では表現しきれないので、テーマを絞る。しっかりと観察をして、ふさわしい言葉を選ぶ。言葉選びで句の重みが変化します。言葉と言葉の響きあいで句の広がりができます。川柳は省略の文芸ではありますが、何が残され、何が表現されているかが重要です。「月を見る」は「月」で表現できる。その分、ほかの要素を加えて17音の句を豊かにしたいですね。

題材は身の回りのどこにでもあります。日々のニュース、政治、経済、社会、世相など、私たちの身の回りにあるすべてのものが対象です。それらの出来事に対する怒り、不安、悲しみ、共感、喜びなどを「575」の17音字に乗せて表現すると相手の胸に響き、自分の思いが伝わりやすくなり、共感が生まれます。

良い時事川柳とは

物事をしっかり穿(うが)つ作品です。穿つとは、川柳の3要素の一つで、物事の本質をしっかり捉えて表現すること。フェイクニュースが氾濫する中、真実を知ることで喜びが生まれ、日日の生活がときめいてきます。

身の回りのことにアンテナを高くして生活をすると、真実に近づき、話し手の言葉に敏感になる。政治家の言葉の重みや軽さを推し量りながら考えるようになりますよ。

■いまだ・きゅうはん 浜松生まれ。「川柳いしころ」主幹。全日本川柳協会副理事長、静岡県川柳協会会長。読売新聞しずおか時事川柳選者、浜松市民文芸川柳選者などを務める。著書に「川柳作家全集 今田久帆」、「川柳作家ベストコレクション 今田久帆」(いずれも新葉館出版)。

投稿募集

読売新聞静岡支局では、静岡県版に掲載される「USO放送」「しずおか時事川柳」「よみうり文芸」「よみうり五行歌」への投稿をお待ちしています。優秀な作品が県版に掲載された方には、図書カードを進呈します。

作品と、住所、名前、ペンネーム、年齢、職業、電話番号(あれば携帯電話番号も)を明記し、読売新聞静岡支局「USO放送係」「時事川柳係」「文芸係」「五行歌係」へ。はがき(〒420・0853静岡市葵区追手町9の22)、ファクス(054・252・0310)、メール(shizuoka@yomiuri.com)のいずれかで送ってください。添削することがあります。未発表のオリジナルのみで、二重投稿はお断りします。県版への掲載は県内在住者に限ります。

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