鉄道沿線の今昔を一冊に収めた写真集『ディスカバード・ジャパン』評
鉄道沿線の今昔を収めた写真集『ディスカバード・ジャパン』評

近現代史研究者の辻田真佐憲氏が評する『ディスカバード・ジャパン 鉄道沿線に見るこの国の姿、今昔(いまむかし)』(大木茂著、現代書館、7700円)は、圧倒される一冊だ。ページを開くと、二枚の写真が目に飛び込んでくる。ひとつは、1960~70年代に日本各地で蒸気機関車を撮影した白黒写真。もうひとつは、2016年から2024年までに撮影したカラー写真。驚くべきは、それらが同じ場所で、同じアングルから撮られていることである。

写真家の執念が生んだ対比

写真家である著者ならではの執念と根気の賜物だろう。おかげで、日本社会の変貌も手に取るようにわかる。鉄道が廃止され原野に戻りつつある地域。逆に、田畑が一面の民家に塗り替えられた地域。長大だった編成が一両編成に縮む一方で、墓標や稜線は昔日のままだ。

撮影手法の変化も反映

撮影方法も時代とともに変わった。かつて著者はよいアングルを得ようと山や丘の斜面をぐいぐい登った。だが、現在では樹木が生い茂って立ち入れないため、ドローンを活用したという。この点も、半世紀以上の歳月による環境変化を物語っている。

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戦後史を雄弁に語る写真集

辻田氏は「百万言を費やす戦後史の本よりこの写真集は雄弁に物語り、戦後のどこかノッペリとしたイメージを覆してくれる」と絶賛。ページをまじまじと見つめながら、何度も唸ったという。「げに趣味人こそ尊けれ!」と結んでいる。

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