南北朝研究の第一人者が描く動乱と創造の時代:森茂暁『南北朝時代』書評
森茂暁『南北朝時代』書評:動乱と創造の時代

南北朝時代を「実利優先」「大転換の時代」と捉える

歴史学者・倉本一宏氏(国際日本文化研究センター名誉教授)が、森茂暁氏の新書『南北朝時代』(講談社現代新書、1320円)を評した。倉本氏は「南北朝研究の第一人者が、まことにオーソドックスな叙述をしていて、安心して楽しむことができた」と述べている。

同書は、自由狼藉と新しい儀法を特徴とする南北朝時代を、実利優先の時代、また大転換の時代であったと位置づける。

第一章・第二章:皇統分裂の契機と南北朝時代の始まり

第一章では皇統の分裂とその契機が述べられ、第二章では分裂の開始と南北朝時代の始まりが解説される。著者は、朝敵の立場を回避しようとした足利尊氏が、天下を天皇家同士の争いにしようとしたと分析している。

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第三章:室町幕府内紛と天皇の求心力

第三章では室町幕府の内紛の様子を解説。直義や尊氏・義詮まで、形勢が不利になると南朝に帰服して逆転をはかる図式が現れる点にこそ、天皇というものが持つ求心力が存在すると指摘する。

第四章・第五章:動乱の地方的展開と収束への動き

第四章では動乱の地方的展開を説明し、第五章では動乱収束への動きを解説。後醍醐天皇の没後、南北の人々が和睦の交渉を何度も行っていたという。

動乱は「創造のための時代」

動乱の時代というイメージのあるこの時代が、政治体制の上でも社会構造の面でも、画期的な変革をもたらす創造のための時代であったと結論づけている。

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