横浜のTHE MOVEUM YOKOHAMAで開催される「印象派モネと浮世絵」の鑑賞ガイド。内覧会での体験と、約10回鑑賞した担当者への取材をもとに、おすすめの鑑賞順や混雑時に立ち寄りたいスポットを紹介する。
おすすめの鑑賞順
まずおすすめしたいのは、「THE MOVEUM THEATER」を見る前に、入口を通って右に見える「浮世絵ギャラリー」を見ておくことだ。
この展示では、"浮世絵のすごさ"を丁寧に説明してくれる。キーワードは「世界をそのまま見せない」ということ。浮世絵のなかに、見せたいものを強調するため、あえて人物などの対象に寄ったり、視点を対象に集めさせる仕掛けがあったり、想像の景色を入れてみたりといった工夫が施されていることを知ることができる。
THE MOVEUM THEATERで没入できるモネの世界
そのうえで、メインコンテンツ「THE MOVEUM THEATER」へ。ここでは、約1800㎡の巨大空間を舞台に、絵画・建築・音楽・映像・音響を融合させたイマーシブアートを楽しめる。
時系列に沿った第1章から第6章の構成で、「プロローグ」と「エピローグ」を含め、約50分の上映となる。スケジュールは、毎時00分よりスタートとなる。
「プロローグ 日の出」では、当時の様子だけでなく、現代や未来を思わせるような近現代的な映像と音楽が流れる。第1章は「印象派と近代都市パリ」、第2章は「パリから海へ:光をもとめて」、第3章は「自然のなかへ」、第4章は「ジャポニズム」、第5章は「浮世絵:江戸の美と新たな視覚表現」、第6章は「睡蓮:移ろう光、はてしない風景」。最後に「エピローグ 日没、光と影」で、夕暮れの光の中で静かに幕を閉じる。
より没入するために、注目してほしい点を2つ挙げる。1つ目は、床だ。鉄道を代表として近代化していく街の中で、線路の上に乗れたり、睡蓮の池の水面の揺らぎの上に乗れたりと、非日常の体験ができる。
2つ目は、音楽や人の声、自然の音だ。視覚情報なしにも「第〇章」と当てられるくらい、音にもこだわりを感じる。ガヤガヤとした商人たちの声や笛や弦楽器の音、障子の閉まる音から日本を感じられる。しっとりと優雅な音楽や電車の音からは、パリを中心としたフランスの景色が想起される。
混雑時の抜け道!? 賢く回る方法
本展を「10回ぐらい鑑賞した」と話すトヨタ・コニック・プロの三島俊介氏に賢く回る方法を聞いてみた。
まず教えてもらったのは、映像を鑑賞する際のおすすめの立ち位置だ。
「10回ぐらい見ているんですけど、入ってすぐの場所から見ると、いろいろな壁面に映っている絵がよく見えるんですよ。皆さんメインのウォールを見がちなんですけど、入口付近から見た風景も結構インパクトがあるので、僕的には推しのポイントです」
と話してくれた。筆者自身も鑑賞してみると、出口付近が一番きれいに観ることができたように感じた。視界に入る壁の面が多い方がいろいろな映像を一度に観ることができ、没入できる気がした。
どうしても人が多すぎるときや、一度映像をお休みしたいときは、後方の「モネのダイニングルーム ~モネを魅了した浮世絵空間~」に行ってみてほしい。モネが、長い時間を過ごしたジヴェルニーの邸宅を再現した空間だ。ここは、1人目の妻・カミーユの死を乗り越え、再婚したアリス・オシュデとその子供たちと晩年まで過ごした場所。
三島氏にこだわりポイントを尋ねると、「実際に部屋を作るためにフランスまで行きました。さらに、食器も、どこかから適当に持ってきたものではなくて、実際にフランスの当時のお皿を集めました」とのこと。壁紙の色についても「すごいどぎつい色だったと思うんですけど、現地に色見本を何種類か持っていって、実際に合わせて近い色で再現しています」と三島氏。
「LISTEN. ONE MOMENT WHITE NIGHT 白夜」「トヨタ夢の車アートコンテスト」の不思議な体験
さらに、同会場では「印象派モネと浮世絵」だけでなく、俳優・山口智子氏がプロデューサーを務めるプロジェクト「LISTEN. ONE MOMENT WHITE NIGHT 白夜」(約20分)の上映も別の展示室で行われている。ここでは、イヌイットやアイスランド、スウェーデンなどの伝統音楽を肌で感じられる映像が上映される。
また、続けて上映される「トヨタ夢の車アートコンテスト」(約10分)は、子供たちの純粋で想像力豊かな絵の世界に、思わず没入してしまう。
混雑に疲れたら、この不思議で浄化されるような体験をぜひ味わってほしい。