西武渋谷店、58年の歴史に幕 元店員の作家・永江朗氏が語る「おいしい生活。」の軌跡
西武渋谷店閉店 元店員の作家・永江朗氏が振り返る「おいしい生活。」

1968年から約60年にわたり営業を続けてきた西武渋谷店が、9月30日に閉店する。最盛期に自身も店で働き、後に西武関係者へ取材した著書『セゾン文化は何を夢みた』を持つ作家の永江朗さん(68)が、その栄枯盛衰を振り返った。

「これで終わるんだな」という思い

西武渋谷店の閉店について、永江さんは「率直な驚きはありません。ただ、渋谷の街から百貨店がなくなることに、これで終わるんだな、という思いです」と語る。

「何かあったらデパートに行きましょう、お休みの日は家族でデパートに行って買い物して、レストランで何か食べて帰りましょう、という憧れの場所ではなくなっているんだなと痛感します」と述べた。

「情報発信基地」としての役割

西武渋谷店は、国内外の新しいブランドやデザイナーの商品をいち早く取り扱うなど、「情報発信基地」としての役割を果たしてきたことで知られる。

永江さんは「84年ごろから約3年間、西武渋谷店の輸入美術書やレコードを扱う店『カンカンポア』で働きました」と振り返る。

「西武渋谷店では商品を受け身で並べるのではなく『これは何なのかを発信していきましょう』ということに力を入れていました。このゾーンに行けば、世界のファッションで何が一番新しいのかが分かる、といった売り場づくりには意識的でした」と説明した。

常連客との関係

常連客の中には、買わなくても足を運ぶ人々がいたという。働く人もお客さんも「自分も参加している」という意識があったと永江さんは指摘する。

閉店を前に、西武渋谷店の店外にはお客から寄せられた思い出や感謝のメッセージが展示されていた。