「ひでぶ」は「ひでえ」から生まれた 武論尊が語る『北斗の拳』の舞台裏
「ひでぶ」誕生秘話 武論尊が語る『北斗の拳』制作の裏側

漫画原作者の武論尊氏が、人気漫画『北斗の拳』の制作秘話を明かした。悪役の断末魔として知られる「ひでぶ」という叫びは、当初「ひでえ」だったことや、ストーリーが行き当たりばったりで展開されていたことなど、作品にまつわるエピソードを語っている。

「ひでぶ」は「ひでえ」から生まれた

悪役が往生する際に発する「あべし」「ひでぶ」といった独特の表現は、話題を集めた。武論尊氏によると、「ひでぶ」は最初「ひでえ」だったという。「これじゃつまんない、『ひでえ』って言いかけて途中で潰れると『ぶっ』てなるじゃないか」と、漫画家の原哲夫氏が自ら編み出したとされる。その後、評判になったことから、原氏はさまざまな死に際の叫びを楽しみながら描いていたという。

武論尊氏は「原先生唯一の楽しみだったんですよ、息抜きです」と振り返り、「もう、きつい作業なんで、そこで息抜きでもしないと」と続けた。自身もときどき変な叫びを書いたが、「結構、却下されてましたね」と明かした。

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絵のイメージは俳優で伝える

武論尊氏はストーリーを書く際、絵は一切描かないという。キャラクターについては「どんな顔をしてるか、どのくらいゴツいだの、二枚目か細身なのかだとかをイメージ的に伝える」と説明し、俳優の高倉健や、東宝・東映の名悪役だった天津敏を例に挙げて伝えると語った。

「よく映画を見ていたので、だいたい映画俳優ですね。ずるいヤツは東映のやくざ映画、遠藤太津朗とか」と述べ、「世代が違うと分からないでしょうけど、東映には必ず悪役がいたんですよ」と振り返った。

原哲夫氏の絵の才能

原氏はイメージを聞くだけで、それを超える絵を描いてくるという。「デカいの」と言えば「すごい悪を描いてくる」とし、ジャギのヘルメットも「ああいうすごみのあるヘルメットを描いてくる」と感嘆した。武論尊氏は「原先生のイメージの取り方って、やっぱりすごいんですよ。一つの才能なんでしょうけど」と評した。

ストーリーは行き当たりばったり

ストーリー展開については、次のことを考えていないと明かす。「毎回書いて渡すでしょ、それを原先生がネーム(漫画のコマ割りなど)を切ったのを見て、その次を考えるというふうにいくんですよ」と語り、「展開が読めないと言われましたけど、読者が先を読めるわけないですよ。こっちが書いてない、考えてないんだから」と笑いながら述べた。

つじつまが合わない点も多いと認めつつ、「毎年毎年お正月が来るけど、サザエさんは年を取らないでしょ、って話です。みんな言うんですよ。ケンシロウは毎回、服破れるけど、何枚持ってんの、とか。そういうことを気にしたら漫画はダメだから」と持論を展開した。

最後に、現在の制作環境について「今なら、ストーリーに困ったらAIに任せちゃうかもしれない。でもつまんないと思うな、たぶんそれ」と述べ、締めくくった。

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