奥田亜紀子『るすばん』短編アニメ化、1週間限定劇場公開 全編手描きで挑む
奥田亜紀子『るすばん』短編アニメ化、全編手描きで劇場公開

漫画家・奥田亜紀子氏の短編集『心臓』に収録された一編『るすばん』が、アニメーションスタジオ「ロックンロール・マウンテン」(RRM)により短編アニメーションとして初めて映像化される。2026年8月1日より東京・新宿K's cinemaで1週間限定公開されることが決定し、併せてポスタービジュアルと予告編、場面スチール7点が解禁された。

原作は『ぷらせぼくらぶ』の奥田亜紀子、『このマンガがすごい!』第5位

原作は、多感な中学生たちの日々を描いた青春漫画『ぷらせぼくらぶ』などで知られる奥田氏の短編集『心臓』の一篇。同短編集は「このマンガがすごい!2020」オンナ編で第5位にランクインした。物語は1987年8月、大きな家で一人留守番を任された主人公・とっこの一日を描く。家族が帰ってくるまでの、子どもだけが知る特別な時間が繊細に紡がれる。

ロトスコープ不使用、若手スタッフが全編手描きに挑戦

本作の制作で特筆すべきは、RRMがこれまでの主な手法であった実写をトレースするロトスコープを一切使わず、若手スタッフのみで初めて全編手描きアニメーションに挑戦した点である。監督は、スタジオジブリで演出助手を経験し、劇場アニメ『ひゃくえむ。』で長編作品の演出助手を務めた柳澤あゆみ氏。本作が監督デビュー作となる。

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解禁されたポスタービジュアルには、「みんなの家に、わたしがひとり。」のコピーと共に、懐かしい日本家屋の居間の一角、少女漫画雑誌、恐竜の貯金箱、とっこが描く「てん」の文字、一人たたずむとっこの後ろ姿が描かれ、観る者に自身の「あの頃」を想起させるデザインとなっている。予告編では、夏の一ページがスケッチされる中、留守番中のとっこの豊かさと寂しさが凝縮。水中の猫の人形の揺らぎや畳の傷みなど、細部へのこだわりが感じられる。

監督・原作者・プロデューサーのコメント到着

公開決定に際し、柳澤監督、原作者・奥田氏、企画・プロデュースの岩井澤健治氏からコメントが寄せられた。柳澤監督は「言葉ではいいようのない瞬間が詰まっている作品です」と語る。奥田氏は「この作品にこめられたのはとても個人的な記憶ですが、私じゃない誰かの古い記憶にまで届くんじゃないかと思っています」とコメント。岩井澤氏は「言語化が難しいあの頃の空気感や心象を独自の視点で表現する奥田さんの漫画を、柳澤監督を中心にRRMスタッフが素晴らしいアニメーション映画に仕上げてくれました」と述べた。

同時上映は岩井澤監督『山』、ドキュメントブックも販売

『るすばん』と同時に、2010年に岩井澤氏が監督した短編アニメーション『山』も上映される。同作は漫画家・大橋裕之氏の短編漫画の映像化で、後に長編アニメーション映画『音楽』が誕生するきっかけとなった作品。公開期間中は、柳澤監督と異なるゲストを迎えたアフタートークを連日開催。また、スタッフコメントや原画、設定資料、奥田氏によるイメージボードなど52ページのドキュメントブックが劇場窓口で販売される。

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