7月16日の午前中から昼前後の時間帯にかけて起きていたクレジットカードの大規模障害について、ビザ・ワールドワイド・ジャパンは傘下企業のCybersourceでのプログラム変更に起因するトラブルが原因だったというのは既報の通りだ。結果として、Cybersourceを「利用していた」クレジットカード決済に関わる企業のネットワークがまひし、処理が進まない、あるいはそもそも処理が行えないといった事態を引き起こしていた。
障害発生時は当初「(カード処理の多くを担う)CARDNETの障害が原因」などと取り沙汰されていたが、同システムを運営する日本カードネットワークは否定、後に障害の原因に「当たり」を付けたカード会社らが「迂回ルート」を選択するなど徐々に問題が収束し、最終的に米Visaがその原因を「Cybersourceにある」と認めたことで全体像が見えてきた。
Cybersourceとはどんなサービスか
今回の障害で影響を受けたのはVisaカードを取り扱う加盟店全てではなく、同時にVisaだけでなくMastercardなど他の国際ブランドの決済でも影響を受けていたりと、クレジットカードの処理の仕組みを知らなければ疑問に思ったことがいろいろあったと思う。ここでは、Cybersourceとはどのようなサービスなのかを解説しつつ、クレジットカード処理の仕組みについて少し解説したい。
クレジットカード処理の流れを理解するうえで、「カード利用者(ホルダー)」「カード会社(イシュア)」「国際ブランド(VisaやMastercardなど)」「決済代行業者(PSP)とアクワイアラ」「カード取扱店舗(加盟店)」の5つの要素をまず知っておく必要がある。
それぞれの関係とお金の流れは、以前の全ト信販にまつわる記事を参照してほしい。今回のCybersourceだが、役割的には「PSP/アクワイアラ」と「国際ブランド」の間に位置する。利用者が加盟店でカード決済を行った場合、接続先のPSP/アクワイアラを通じて国際ブランドの各ネットワークへと接続され、最終的にカードを発行するイシュアで処理が行われる。問題なければ決済が成立し、適切なタイミングでカード利用者にカード会社から請求が行われるという流れだ。
では、Cybersourceは「PSP/アクワイアラ」と「国際ブランド」の間で一体何をやっているのだろうか? 位置付けとしては「決済代行のゲートウェイ」というもので、国際ブランドが決済を行う前段階で「前処理」を行ったり、「Decision Manager」という不正検知の仕組みを提供する。全ト信の話題でも触れた、カード会社にとっては損失につながる「チャージバック」を減らす役割を担う。
また、クレジットカードの処理を16桁(または15桁)の「生」の数字(PANと呼ばれる)ではなく、別の文字列に置き換えることで加盟店がカード情報を保持することなく処理を継続できる「TMS(Token Management Service)」というサービスを提供しており、加盟店側のシステムに求められるセキュリティ要件が緩和されつつ、安全性を高めての取引が可能になるといった具合だ。
そして「前処理」の部分だが、一般にSaaS形式で提供されるCybersourceのサービスに対して加盟店のシステムは一般的なWeb API形式でデータを送ってくることになる。この情報を解析してパラメーターを変更し、Visaの決済ネットワークである「VisaNet」が処理を受け取れるような形に「電文」を成形して送信する。
ここで求められる仕様は厳格で決済事業者にとっての負担が重く、かつ後にアップデートがあっても迅速にCybersource側で対応するため、多くの事業者はCybersource経路での接続を行っているわけだ。



