東海道・山陽新幹線の総合指令所では、巨大な表示盤に全線の運行状況が映し出され、列車の安全運行を支えている。乗務員と指令所の間の通信手段として、従来から使われてきた列車無線に加え、IP無線アプリ「バディコム」が重要なサポート役として導入されている。JR東海は2018年7月、乗務員の携帯電話がスマートフォンに切り替わるタイミングでバディコムを初めて採用した。現在では運転士や車掌だけでなく、パーサーや警備員もバディコムのグループ通話機能を活用し、乗務員同士や指令との情報伝達が格段に効率化されたという。
列車無線とバディコムの使い分け
車内で急病人が発生した場合の対応手順について、JR東海の伊藤氏は「まず乗務員が列車無線で指令に連絡して状況を報告します。その後は『乗務員さんわかりました。私もグループ通話に入るので、ここからは現地(急病人がいる号車)で対応してください』という流れになります」と説明する。このように、緊急時の初動連絡には列車無線が使われ、その後の詳細なやり取りにはバディコムのグループ通話が活用される。
1日平均250件のやり取り
総合指令所と列車の間のやり取りは、1日平均で約250件に上り、繁忙時には450件程度に達することもある。最も多い内容は遺失物に関する問い合わせで、乗務員の江村氏は「1日乗っていると、1〜2件はあるかなという感じですね」と語る。指令員は列車無線やバディコムで列車に連絡するが、車掌は車内を巡回していることが多いため、バディコムで連絡を受けるケースが多いという。
バディコム導入前後の変化
バディコム導入前は、列車無線に車掌が出ない場合、音声を留守番電話に吹き込み、乗務員室に戻った車掌がそれを聞いてから対応するという流れだった。伊藤氏は「今はタイムリーに情報が伝えられ、迅速に動いていただけますので、本当に便利になりました」と評価する。また、バディコムのテキスト送信機能もメリットの一つで、情報の記録や確認が容易になった。
鉄道業界でのバディコム普及
バディコムの機能については、2026年4月27日付の『鉄道で導入進む「通信アプリ」現場負担減らせるか』でも詳しく紹介されている。現在では多くの鉄道事業者がバディコムを導入しており、初採用はJR東海であった。乗務員の負担軽減と情報伝達の迅速化に貢献している。



