NTTドコモは、宇宙空間での光通信技術の実用化に向けて本格的に動き出した。同社が開発を進めるのは、レーザー光を用いた高速データ伝送システムで、従来の電波通信と比較して桁違いの通信速度と大容量化が期待されている。この技術は、地上の光ファイバーネットワークと衛星を直接接続し、宇宙と地上のシームレスな通信を実現することを目指している。
光通信がもたらす革新
現在の衛星通信は主に電波帯域を使用しているが、周波数資源の逼迫や速度、容量の限界が課題となっている。光通信はこれらの問題を解決する有望な手段として注目され、特に低軌道衛星コンステレーションとの組み合わせで、地球全体をカバーする高速通信網の構築が可能になる。ドコモは、2020年代後半の実用化を目標に掲げ、地上局と衛星間の光通信システムの開発を推進している。
同社の技術の核心は、高精度な捕捉・追尾技術にある。衛星は高速で移動するため、地上局から発射されたレーザー光を正確に捉え、通信を維持する必要がある。ドコモは独自の光学系と制御システムを開発し、この難題に挑んでいる。さらに、大気の揺らぎによる光の減衰や歪みを補正する適応光学技術も重要な要素だ。
実用化への道筋
ドコモは2023年、光通信の基礎実験を開始し、2024年には軌道上での実証実験を計画している。これには、低軌道衛星に搭載可能な小型光通信端末の開発が含まれる。実用化に向けては、コスト低減と信頼性向上が不可欠であり、ドコモは国内外のパートナー企業や研究機関と連携して開発を加速している。
「宇宙光通信は、Beyond 5G/6G時代のキーテクノロジーの一つです。ドコモは、地上と宇宙をシームレスに結ぶネットワークを実現し、新たな価値を創造していきます」と、NTTドコモの担当役員は語る。同社は、この技術が遠隔医療、自動運転、災害対策など、幅広い分野での応用が可能と見込んでいる。
競争激化する宇宙通信市場
宇宙光通信の分野では、海外のStarlinkやAmazonのProject Kuiperなども光通信の採用を検討している。ドコモは、日本発の技術で国際競争に挑む姿勢だ。特に、日本政府が進める「宇宙基本計画」や「宇宙産業ビジョン」とも連携し、官民一体での開発推進が期待されている。
技術的なハードルは高いが、ドコモはNTTグループの持つ光通信技術の知見を活かし、差別化を図る。NTTは、地上の光ファイバーネットワークで培った技術を宇宙に展開することで、トータルな通信インフラの提供を目指している。実用化されれば、現在の5Gを超える超高速・大容量通信が可能になり、新しいサービスの創出につながる。



