米Anthropicは9月1日(現地時間)、生成AIモデル「Claude Fable 5.1」と「Claude Mythos 5.1」を発表した。コーディングや知識労働、長時間にわたる問題解決能力を強化したほか、料金面ではキャッシュ読み込み料金を75%引き下げた。同社はまた、企業向けの新たな安全・データ管理基盤「Enterprise Frontier Safeguards(EFS)」を発表した。
同一基盤モデル、安全対策の適用範囲が異なる
Fable 5.1とMythos 5.1は同一の基盤モデルで、安全対策の適用範囲が異なる。Fable 5.1には一般提供向けの安全対策が適用される。一方、Mythos 5.1はサイバーセキュリティやライフサイエンス分野を対象に、審査を通過した個人や組織に対し、認定プログラムを通じて、より制約の少ない形で提供する。
Fable 5.1は同日から、Claudeの各サービスに加え、Claude API、Amazon Web Services、Google Cloud、Microsoft Azureで利用できる。APIのモデル名は「claude-fable-5-1」である。Mythos 5.1は現時点で米国内の一部組織に限定して提供しており、Anthropicは米政府と連携しながら、米国内外のより幅広い組織への提供拡大を目指すとしている。
ベンチマークスコアが倍増、長時間の自律稼働とコスト削減を両立
AnthropicはFable 5.1について、長時間継続するエージェント型処理を重点的に改善したとしている。エージェントによる科学研究能力を評価する「Terminal-Bench-Science 0.1」では52.6%を記録し、前モデルFable 5の24.7%、Claude Opus 5の29.0%を上回った。ビジネスワークフローを評価する「AutomationBench」でも31.4%となり、Fable 5の17.1%から向上した。
企業向け経費管理サービスを手がけるRampでは、Fable 5.1が機械学習に関する処理を人の介入なしで38時間継続し、過去の結果を再検証したうえで6件の実験を並行して実行したという。
発表で示された科学研究分野の利用例を紹介すると、Mythos 5.1はタンパク質の結合分子を設計し、12種類の標的に対する実験で、設計した候補が実際に結合した割合が50%近くに達したという。またFable 5.1は、NASAの探査機マゼランが30年以上前に取得したレーダー画像からニューラルネットワークを訓練し、金星の約3分の1を対象とする高解像度の標高マップを作成した。
料金改定とサイバー分野の過検知抑制
Fable 5.1のAPI料金は、100万トークンあたり入力10ドル/出力50ドルに据え置く一方、処理済みのコンテキストを再利用する「キャッシュ読み込み」を100万トークンあたり0.25ドルとした。Fable 5から75%の引き下げとなる。Anthropicによると、一般的な処理ではFable 5と比べて総コストを約25%削減でき、コンテキストの再利用が多い複雑なコーディングやエージェント型処理では約45%の削減が見込める。
安全対策も見直された。判定精度の向上により、Fable 5.1では防御目的のソフトウェア脆弱性の特定が認められ、問題のない要求まで遮られる場面が減った。Anthropicによると、Claude Codeにおけるサイバーセキュリティ関連の介入は、Fable 5と比べて1セッションあたり平均約60%減少したという。なお、侵入テストやエクスプロイト作成、バイナリスキャンなど悪用リスクのあるタスクについては、引き続きOpusモデルへ振り分けられる。
Mythos 5.1については、サイバー防御向けの「Cyber Verification Program」とライフサイエンス向けの「Life Sciences Verification Program」を通じて提供する。後者は米政府と連携したプログラムで、今後より広範なライフサイエンスコミュニティに拡大していくという。
企業向けにデータ保持の新方式
Enterprise Frontier Safeguards(EFS)は、ゼロデータ保持(Zero Data Retention:ZDR)と同等のプライバシー保護を維持しながら、高度な不正利用検知を可能にする仕組みである。顧客データはAnthropic側ではなく、企業自身が管理するクラウド環境に保存される。これにより、モデルの不正利用を検知しながら、顧客データをAnthropicのシステムに保存しない運用が可能となる。人間によるレビューが必要な場合も、デフォルトではAnthropicではなく顧客側が担当する。
EFSは今年の秋後半から段階的に提供する予定で、Claude Code、Claude Enterprise、Claude Platform、Amazon Bedrock、GoogleのAgent Platform、Microsoft Foundryなどに対応する。提供開始までの間、EFSの対象となる顧客はFable 5およびFable 5.1をゼロデータ保持で利用できる。



