東京大学と日本電信電話(NTT)は、新たな量子コンピュータの実用化を目指す産学連携プロジェクトを本格的に始動した。このプロジェクトは「Q-LEAP(量子利活用社会実現のための革新的量子技術創出プロジェクト)」の一環として位置づけられ、2026年度までに100量子ビットの量子コンピュータを実現することを目標としている。
プロジェクトの概要と目標
プロジェクトでは、超伝導方式と光方式の2つの技術を融合したハイブリッド型量子コンピュータの開発を進める。東京大学の荒川泰彦教授は「従来の方式では難しかった大規模化とエラー耐性を両立できる可能性がある」と述べている。NTTは光回路技術を提供し、東京大学は超伝導量子ビットの制御技術を担当する。
また、産業界からは10社以上の企業が参画を表明しており、具体的な応用分野として創薬、材料開発、金融リスク分析などが想定されている。
国際競争の激化
量子コンピュータの開発競争は世界的に激化しており、米国や中国が先行する中、日本はこの分野で遅れをとっているとの指摘がある。文部科学省の担当者は「このプロジェクトは日本の量子技術の競争力を強化する重要な一歩だ」とコメントしている。
プロジェクトの総予算は5年間で約200億円を見込んでおり、そのうち約半分は国費が充当される。2026年度までに100量子ビットを達成した後、2030年には1000量子ビットを目指す計画だ。
期待される応用と課題
量子コンピュータの実用化により、現在のスーパーコンピュータでは数千年かかる計算を数分で実行できる可能性がある。特に創薬分野では、分子シミュレーションの高速化が期待されている。一方で、量子ビットの安定性やエラー訂正技術の確立など、解決すべき課題も多い。
東京大学の荒川教授は「量子コンピュータの実用化はまだ道半ばだが、このプロジェクトを通じて基礎研究から応用まで一貫した開発を進めたい」と意気込みを語った。



