MicrosoftのWindows部門長を務めた経歴を持つSteven Sinofsky氏は、X(旧Twitter)への投稿で、かつて同社がOfficeの名称やアイコンを2~3年ごとに変更していた背景を明らかにした。単なるデザイン上の判断ではなく、当時のソフトウェア販売や企業契約の仕組みが深く関係していたという。
Windows Latestは8月18日(現地時間)、「Microsoft rebranded Office every 24-36 months, and it had nothing to do with design」と題した記事で、Sinofsky氏の投稿を取り上げ、その背景を紹介している。
なぜ「2~3年」だったのか、背景に3年契約
当時のOffice製品は、現在のようにインターネット経由で継続的に更新される製品ではなかった。新しい製品を販売するには、店頭に新しいパッケージを並べ、雑誌広告や売り場で旧版との差を伝える必要があった。
Sinofsky氏によれば、2000年ごろまでの主な市場は小売販売であり、既存ユーザーによる新バージョンへの買い替えが大きな割合を占めていた。新しい名称やアイコンは、製品が新しくなったことを視覚的に伝える手段として機能したという。
その後、企業向け事業が拡大すると、大口顧客との契約は3年間が中心となった。顧客には契約期間中にリリースされた新しいOfficeを利用する権利が与えられていたため、Microsoftには「契約期間中に少なくとも1回は新製品を提供する」という事業上の要請が生まれた。
一方、12カ月ごとのリリースを企業市場で続けることも現実的ではなかった。全社規模のOffice更新には時間と費用がかかり、さらに従業員に新しいExcel操作などを再教育する手間が企業の重荷となったためだ。
Microsoft 365では「3年周期」が不要になった
こうした事情から、企業の更新負担を考慮しながら、3年契約の期間内には新しいOfficeを提供する必要があった。結果として、Officeのリリースとそれに伴う名称やブランドの刷新は、おおむね2~3年周期になっていった。
現在のMicrosoft 365では、当時のように新しいパッケージを数年ごとに購入するのではなく、サブスクリプションを通じて機能やセキュリティの更新が継続的に提供されている。
Sinofsky氏の説明からは、Officeの名称やアイコンの変更が単なるデザイン刷新ではなく、当時の販売方式や企業契約、アップグレード周期に対応する事業上の意味を持っていたことがわかる。Microsoft 365では継続的なアップデートが前提となり、かつてのように「新しいOffice」を数年ごとに明確に打ち出す必要性も薄れている。



