ソフトウェア開発の現場では、最終リリース前に「ベータテスト」や「ベータ版」という言葉を耳にすることが多い。これは、広くユーザーからフィードバックを得るために行われるテストで、配布されるソフトウェアを「ベータ版」と呼ぶ。不特定多数を対象とする場合は「パブリック・ベータ」、特定メンバーに限定する場合は「プライベート・ベータ」と区別される。
ベータテストの目的とアルファテストとの違い
ベータテストの段階では、基本的な仕様や機能、開発の方向性は固まっているが、フィードバック次第で変更される余地が残されている。開発者が気づかない問題を組織外の視点から洗い出すのが目的だ。一方、ベータテストの前に行われるアルファテスト(αテスト)は、社内や組織内で実施されることが多く、外部に提供する場合でも最重要顧客など限られたメンバーに限られる。
アルファ版とベータ版の大きな違いは、安定性と機能の実装度合いにある。ベータ版は多少不安定でも基本的な機能はすべて実装され、評価が可能な状態だ。これに対しアルファ版は未実装の機能があったり、最終版と異なるインストール方法が必要だったり、想定外の操作でクラッシュするなど安定性に欠ける。アルファテストではソフトウェアによる自動テストが行われることが多く、テスト時間の短縮や早期のバグ発見につながる。
「アルファ」「ベータ」の由来とIBMの歴史
この呼称は、かつてIBMが社内用語として使っていたものだとされる。IBMではハードウェアに対し、発表前のテストを「Aテスト」、発表から出荷までに社外ユーザーと行うテストを「Bテスト」と呼んでいた。これをソフトウェアに応用する際、AとBをギリシャ文字のαとβに変えたのが始まりとされる。その後、IBMはこの用語の使用をやめ、「フィールドテスト」という名称に変更したが、退職者の発言記録や各種ドキュメントを通じて、アルファ・ベータという用語はソフトウェア開発一般に広まった。
Windowsの開発工程とリリース候補
一般的なソフトウェア開発は、設計、プロトタイプ、基本仕様決定、実装、アルファテスト、ベータテスト、最終仕様確定という過程を経る。Windowsの場合、その後はリリース候補(RC版)によるチェック、RTM(配布用メディアの製造工程へのリリース)、GA(一般向けリリース)という段階がある。Microsoft社内ではRCを「エスクロー」と呼ぶ。エスクローは本来、押印された重要文書を指すフランス語に由来し、商取引では「第三者預託」を意味するが、Microsoftではもはや仕様を変更できない段階を指す。フィードバックや要望、改良案を受け付けるのはベータテストまでで、RCではバグの報告のみが受け付けられる。
なお、今回のタイトルネタは1957年の東宝映画「地球防衛軍」である。同作にはアルファ号、ベータ号という空中戦艦が登場し、富士山麓に基地を築いた遊星ミステロイドの住民ミステリアンが地球侵略を企てる。無線操縦の巨大ロボット「モゲラ」や入浴シーンなど、後の作品に多くのネタを提供した作品として知られる。



