下妻前市長の死去巡りSNSで偽情報拡散、外国人政策関連付け炎上
下妻前市長死去巡りSNSで偽情報拡散、外国人政策関連付け炎上

須藤豊次・前下妻市長(67)が6月に死去したことを巡り、交流サイト(SNS)で外国人の不法就労などと関連づける偽・誤情報が多数拡散され、炎上していた。読売新聞社が米メルトウォーター社の分析ツールを使ってX(旧ツイッター)の6月13日~7月13日の投稿を調べたところ、「下妻市長」と言及した投稿は80万8000件に上り、うち18万3000件に「外国人」という単語が含まれていた。須藤氏の遺族は「とても残念。勝手な臆測を発信するのはやめてほしい」と訴えている。

市長選直後の死去と偽情報の拡散

3月の市長選で初当選した須藤氏は6月15日に屋外で遺体で見つかり、県警は現場の状況などから自殺とみられると発表した。しかし、ニュースが報じられた直後から、SNSで偽・誤情報が発信・拡散された。

「この市長は不法就労通報報奨金制度を始めてたらしい。100%自殺ではない、見せしめ」という投稿は270万回以上閲覧され、2万5000回以上リポスト(再投稿)された。県は5月に不法就労外国人を雇う事業者を通報して摘発につながると報奨金を支払う制度を開始しており、Xでは「須藤氏が制度を始めた」などとする投稿が目立ったが、県は「全く関係ない」と否定している。

市長選で外国人政策は争点にならず

市幹部や市長選で須藤氏を支援した市議も「須藤氏と外国人問題について話したことはない」と口をそろえる。須藤氏の選挙公報にも、外国人政策への言及はなかった。そもそも市長選では外国人政策が注目を集めたとは言えず、3月1~31日のXで「下妻市長選」の単語を使った投稿は396件、「外国人」を含む投稿はわずか2件だった。

だが、SNSでは偽・誤情報や根拠不明情報の拡散が続き、「移民に反対した市長が暗殺されるって本当にやばい」という投稿は約1900万回以上閲覧され、2万8000回以上リポストされた。県警の発表を疑問視する投稿も多く、地方議員などの公職者が偽・誤情報に同調する投稿をしたことも確認された。

事件性を主張する投稿と遺族の思い

須藤氏死去に事件性を主張する投稿では、4月に下妻市内の畑での不法就労事件が摘発されたことと関連させるケースもあった。県警幹部は「事件と関係あるわけがなく完全なデマ。遺体も抵抗した痕がなく、自殺とみて矛盾はない」と説明する。

読売新聞の取材に応じた須藤氏の次男(40)は「自殺という県警の見解を疑っていない」と話す。須藤氏が会長を務めた建設会社では外国人技能実習生を受け入れており、「父は外国人受け入れに反対していなかった。外国人問題と関連させた偽・誤情報が出回っているのはとても残念だ」と訴えた。

法政大の白鳥浩教授(現代政治分析)は「自殺と、県の通報報奨金制度の施行、事件の摘発が偶然、近かったため、無関係の情報が関連付けられたのではないか」と述べる。政治家やインフルエンサーが偽・誤情報や根拠不明情報を再投稿すれば、事実と判断して拡散する人もいるといい、「根底には外国人政策の無理解がある。教育を通してリテラシーを向上させていくべきだ」と指摘する。

市長選期間中も偽情報の拡散続く

須藤氏の死去に伴う下妻市長選(7月26日告示、8月2日投開票)の期間中も、Xで「下妻市長」という単語を使った投稿は7万1000件に上った。「下妻市長の不審死を風化させてはいけない」と告示日にされた投稿は、28日現在、156万回閲覧され、2万2000回リポストされている。