いきなり大海は危険!親子で決めるAI・YouTube利用ルールとは
いきなり大海は危険!親子で決めるAI・YouTube利用ルール

Google日本法人は都内でメディア関係者を集め、「家庭でのデジタルセーフティに関する説明会」を開催。同社が提供するYouTubeや生成AI「Gemini」の機能を活用しながら、子どもたちを弊害から守る取り組みを紹介した。

AIは学びを支えるツールに

説明会ではまず、Googleでマーケティングを担当する福江麻衣さんが、AIは子どもたちの「学びを支えるツール」となる可能性に言及。例えば夏休みの自由研究のテーマに困った場合、Geminiに候補を出させて子どもと一緒に考えることができる。宿題や読書感想文をまとめる際には、Geminiの「ガイド付き学習」モードを使うと、子どもが自力で回答できるようアシスト。読書感想文では、物語の登場人物それぞれの感情のくみ取り方を対話を通して言語化できるよう補助し、思考を深めるのに役立つ。また、「Canvas」機能を利用すれば、「月の満ち欠けと地球との位置」のシミュレーション動画をわずか1分程度で作成でき、子どもが科学の原理を視覚的に学べるという。

YouTubeのペアレンタルコントロール

世界中で毎日2000万本以上の動画がアップロードされるYouTubeにも学習コンテンツは豊富。同社YouTubeメディアコー&レスポンシビリティ・パートナーシップ責任者の早川ゆかりさんは「当社では、子どもを『デジタルから守る』のではなく、『デジタルの中で守る』という方針で、児童発達の専門家と協力し、対策を進めています」と強調。13歳未満のユーザー専用アプリ「YouTube Kids」のほか、YouTubeアプリやウェブサイトでは年代別にペアレンタルコントロール機能が設けられており、保護者が承認したコンテンツだけを表示させたり、ショート動画の閲覧時間を0分に設定できる。「例えば、車で長距離移動をするときだけ、ショート動画の0分設定をオフにすることもできます。年齢に応じて、親子で話し合いながら子どもの利用体験を管理できるので、ぜひ使ってほしい」と早川さん。

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ファミリーリンクでスマホを管理

さらに、子どもと保護者のGoogleアカウントを連携させるAndroidスマートフォンの「ファミリーリンク」について、Google Playパートナーシップアプリ部門日本統括部長のエヴァン小島さんがデモを交えて紹介。ファミリーリンクでは、1日のスマホの利用時間の上限を曜日ごとに細かく設定できるほか、ダウンロードできるアプリを制限したり、アプリごとに利用時間の上限を設定したりできる。また、子どものスマホの位置情報を保護者が確認でき、あらかじめ登録した場所から子どもが出発・到着すると保護者のスマホに通知が届くよう設定可能。自宅や学校、塾、通学駅などを設定しておけば、離れた場所から子どもを見守るのに役立つ。さらに、子どものスマホで通知音をリアルタイムに鳴動させる機能もあり、小島さんは「子どもはスマホをなくすこともあるし、なかなか自室から出てこない子どもを呼ぶこともできるので、便利です」と父親としての経験を語った。

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専門家やクリエーターが語る家庭のリアル

説明会後半のパネルディスカッションでは、専門家やクリエーターがAIなどデジタルツールと子どもとの関わり方や家庭での利用ルールについて議論。YouTubeで科学実験チャンネル「GENKI LABO」を運営するサイエンスアーティストの市岡元気さんは、中学2年の双子と小学6年の3人の子どもがおり、標準的な利用制限機能を使っても子どもがパスコードを突破して解除してしまった経験を紹介。「自宅のWi-Fiを制限しても、子どもは祖母のスマホでテザリングするなど、まさにイタチごっこ。今は、リビングにタイマー式のロックボックスを用意して、夜はスマホをそこに置いて寝るというルールにしました」と話した。

AI研究者でGoogle DeepMindプリンシパルサイエンティスト東京拠点代表の全炳河さんは、中学1年の子どもとスマホの利用を「1日3時間まで」と約束。子どもが新たなアプリをインストールしたいときには親に交渉することにしている。「私自身、スナック菓子が大好きで、親が隠せば隠すほど見つけたくなる青春時代を送っていました。スマホもそれに似ています。完全にシャットダウンすると、大人になってから反動があるのでは」と全さん。

YouTubeの早川さんの家庭では、小学低学年と未就学の子どもにリビングルームのコネクティッドテレビで動画を見せるようにしている。「小学校で、『保護者と子どもが一緒にタブレットの利用ルールを決めてきてください』という宿題があったせいか、利用時間を過ぎたときに子どもに指摘すると、すんなり納得してやめたこともありました。『自分で決めたことだから』と思ったようです」と語った。

一方的な制限より子ども自身の納得感

青少年のネット環境に詳しい弁護士の上沼紫野さんは、「子どものネット利用を制限しすぎることには問題があります。子ども自身が納得していないと、『親に見つからなければやってもいい』になりがち。子どもは小さな失敗のなかから学ぶことも多いはず。プールで泳ぎ方を知ったうえで、大海に出てほしい。いきなり大海デビューなんて怖い話です」とコメント。例年、夏休み明けに子どもからの相談が増えることに触れ、「子どもたちはネット上でトラブルになっても、『親に知られたくない』『怒られる』と尻込みすることがあります。親は子どもに『危ない時は親に相談して大丈夫』というメッセージを絶えず発信してほしい」と強調した。

子どもたちを取り巻くデジタル環境は目まぐるしく変化する。どんなツールを、どんなルールで利用するのか。親子で過ごす時間が増える夏休みは、よく話し合って決める好機かもしれない。