最近の中国メーカー製スマートフォンを使っていて、「純正充電器以外だと、思ったより速く充電できない」と感じたことはないだろうか。かつては専用の充電器を使わなければ急速充電が機能しない機種も多かったが、近年その状況は大きく変わりつつある。鍵となっているのが「USB PPS」という規格への対応だ。
USB PPSとは何か? 細かな充電制御が可能に
USB PPS(Programmable Power Supply)は、USB Power Delivery(USB PD)の拡張仕様の1つである。充電器とスマートフォンがリアルタイムで通信しながら電圧、電流を細かく調整できるのが特徴で、高効率かつ高出力の充電が可能となる。USB PPSに対応する充電器はAnkerをはじめ、多くのメーカーから登場している。
規格の策定当初はサムスン電子のGalaxyが「超急速充電(Super Fast Charging)」として採用するにとどまっていたが、今では中国メーカーの機種でも採用が広がっており、スマホ向けとしては標準規格となりつつある。
対応機種の拡大:OPPO、Xiaomi、nubiaなど
直近の日本向け機種では、OPPO Find X9シリーズ、Xiaomi 17シリーズ、POCO X8シリーズ、REDMAGIC 11シリーズなどが対応。Xiaomiは一部機種で最大100Wに対応する。このほか、日本未発売ながらvivoやHONORなどの比較的新しい機種にも採用が進んでいる。
つまり、対応するPPS充電器さえあれば、日本でもメーカーを問わずスマートフォンを急速充電できる環境が整いつつある。サードパーティ製の充電器でも、「PPS対応」と明記されたモデルであれば、多くの機種で急速充電が有効になる。
なお、iPhoneはiPhone 17以降の機種で、USB PD 3.2で拡張された「Standard Power Range Adjustable Voltage Supply(SPR AVS)」に対応している。細かく電圧や電流を制御する動作は似ているが、今回取り上げるUSB PPSとは異なる仕様だ。
日本で手に入る主なUSB PPS対応スマートフォン
日本で正規販売されている機種のうち、PPSによる急速充電が確認できる主なモデルを以下にまとめた。
OPPOでは、フラッグシップのFind X9/X9 Ultra、Find X8、折りたたみのFind N6のほか、ミッドレンジのReno11 Aが55WのUSB PPSに対応する。また、Reno13 A、A3 Pro 5Gは45W、Reno14 5G、A5 5Gでは33WのUSB PPSに対応するため、OPPOスマホの多くが汎用的なPPS充電器で急速充電できる。
Xiaomiでは、Xiaomi 17T Pro、POCO F8 Pro、POCO X8 Pro/Pro Maxが100W、Xiaomi 17 Ultraが90W、Xiaomi 17Tが67WのUSB PPSに対応する。
XiaomiはUSB PPS規格をベースにした独自の急速充電を採用していたが、2025年の秋に汎用のUSB PPSでも利用できるように開放すると発表。以降に発売の機種では充電器を選ぶ自由度が高まったが、日本向けでは2026年以降に登場した機種が基本的に対応となる点に注意が必要だ。
nubiaでは、Fastlane Japanが取り扱うnubia Z80 UltraやREDMAGIC 11シリーズは80WのUSB PPSに対応。ZTE Japanが取り扱うnubia Foldは66W、nubia Neo 5 GTは55W、nubia Flipシリーズが33WのUSB PPSに対応する。
GalaxyとPixelもUSB PPS対応
Galaxyシリーズの急速充電は「超急速充電」と区分されているが、実態はUSB PPS規格となる。現在は最大60Wの超急速充電3.0(Galaxy S26 Ultraのみ対応)、最大45Wの超急速充電2.0(UltraやFoldなどの一部機種が対応)、多くの機種で対応する最大25Wの超急速充電がある。
また、Google Pixelは最新モデルのPixel 10が30W、上位モデルのPixel 10 Pro XLが45WのUSB PPSに対応する。Galaxyを充電中に「超急速充電」の文字が表示されている際は、USB PPSで充電されている。
国内メーカーのスマホは「隠れPPS対応」が多数
一方で、ソニー、シャープ、FCNTといった国内市場主体のメーカーは、スペック表に「USB PD対応」とだけ記述しPPSの文字を出さないケースがほとんどだ。だが、実態を調べると話は変わってくる。
ソニーのXperiaは、純正の急速充電ACアダプターXQZ-UC1の製品ページには「USB PD規格のPPSにより熱を抑制する」と明記されており、実際にXperia 1 VIIは市販のPPS対応充電器だと実測で約30Wの急速充電が機能する。また、ドコモの製品サイトにはUSB PPSに対応していることがスペック表に明記されている。
シャープのAQUOS R9 proも本体表記は「USB PD 3.0」のみだが、ドコモやソフトバンクの製品サイトでは「USB PPS対応」とあり、USB PPSに対応したACアダプターが純正アクセサリーとして指定されている。
FCNTのarrows Alphaは「最大90W(USB PD 3.0)」という表記だが、公式の動作確認済み充電器の条件は「PD・PPS対応で出力100W以上」となっており、90Wをフルに引き出すにはUSB PPSが必要とみられる。
参考までにモトローラも独自規格「TurboPower」を前面に出しているものの、製品に付属する充電器を確認すると100W級のUSB PPSに準拠している。レノボ傘下のFCNTも同様にPD/PPSベースの設計と考えてつじつまが合う。
モトローラの125W純正充電器の対応プロトコルをテスターで確認してみると、独自規格の125W充電とは別にUSB PD規格にも対応する。USB PPSの項目に11V-5Aと20V-5Aの2つを確認でき、最大で100WのUSB PPSに対応していることが分かる。対応するスマートフォンならモトローラ以外でも急速充電が可能だ。
USB PPS対応充電器を選ぶ際の注意点
つまり、日本で売られているAndroidスマートフォンの急速充電は、名前こそメーカーごとにバラバラだが、多くの製品がUSB PPSに対応しつつあるのが実情だ。USB PPS対応充電器を選ぶ際には、電圧と電流も確認しよう。
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