日清食品が業界の常識を覆す「冷しカップヌードル」を発売した。熱湯を使わず、冷水だけで調理できる画期的な商品だ。ラーメンライターの井手隊長が実食し、その魅力を徹底レビューする。
冷水だけで食べられるカップヌードル
従来のカップ麺は熱湯を注いで数分待つのが当たり前だったが、この商品は冷水を注ぐだけで完成する。暑い夏場や、災害時など熱湯が使えない状況でも手軽にカップヌードルを楽しめる点が大きな特徴だ。発売されたフレーバーは「鶏塩レモン味」と「ピリ辛キムチ味」の2種類。
鶏塩レモン味:爽やかさとカップヌードルらしさの融合
まずは「鶏塩レモン味」から紹介する。一口目で感じるのはレモンの爽やかな香りだ。夏向け商品らしく清涼感が強い。しかし、単に酸味で押し切るわけではなく、鶏の旨味をベースに、鰹節や煮干しの風味が重なり、いいダシ感を作り出している。冷たいスープは油をあまり使えないので味が弱く感じられがちだが、この商品は物足りなさがない。
そして何より面白いのは、ちゃんとカップヌードルらしさが残っていることだ。冷たい麺になった途端、別ジャンルの食べ物になってしまう商品も少なくない。しかしこちらはカップヌードルのフライ麺特有の食感と縮れ感がしっかり生きている。レモンの爽快感が前面にありながら、食べ進めると「確かにカップヌードルだ」と感じる。新しさと安心感が同居しているのである。暑い日に食欲が落ちていても食べやすく、それでいて満足感もある。単なる季節商品ではなく、繰り返し食べたくなる魅力のある一品だ。
ピリ辛キムチ味:冷麺を彷彿とさせる本格派
一方の「ピリ辛キムチ味」は方向性が大きく異なる。こちらはかなり本格的にキムチを利かせている。酸味も辛味もしっかりあり、一口食べた瞬間に「冷麺」を連想した。おそらく開発段階でも韓国冷麺をかなり意識していたのではないかと思う。率直に言えば、「キムチをたっぷり入れた冷麺」のような印象だ。
ただし、そこにカップヌードルらしさが加わる。謎肉の旨味、ふわふわした卵の食感、フライ麺特有のジャンクな魅力。細部はしっかりカップヌードルなのである。冷麺として見ても美味しいし、カップヌードルとして見ても美味しい。その絶妙なバランス感覚は見事だった。
個人的には、こちらの方が技術的な挑戦がより分かりやすい商品だと感じた。冷たいスープにジャンクな麺や具材を組み合わせて違和感なく成立させているからだ。
防災の視点でも価値ある商品
この「冷しカップヌードル」は、暑い日のランチや軽食としてだけでなく、災害時にも重宝する。地震や台風などで停電や断水が発生した際、ガスや電気が使えなくても、水さえあれば調理できるからだ。特に夏場の災害では、温かい食事よりも冷たい麺の方が食欲をそそり、熱中症予防にもつながる。日清食品は「熱湯からの解放」を掲げ、新たなカップ麺の可能性を切り拓いた。



