日産自動車が米国で生産するミッドサイズクロスオーバーSUV「ムラーノ」を日本市場に導入し、受注が好調であることが明らかになりました。トヨタのランドクルーザーが一強を誇る大型SUV市場に、新たな選択肢として注目されています。
ムラーノ日本導入の背景と受注状況
日産は2026年2月に国土交通省が創設した米国製乗用車の認定制度を活用し、現行型ムラーノの日本導入を実現しました。ムラーノは過去のモデルが日本でも販売されていたため、懐かしさを感じるユーザーも少なくありません。日産広報は「かつて日本で生産もしており、日本のお客様になじみのあるクルマ」と説明。今後、米国向け車種を日本に投入する計画の一環として、ムラーノは試金石的な役割を担っています。
受注は2026年6月3日に開始され、初日の手応えは「好調」と日産広報は語ります。具体的な受注台数は非公表ですが、「左ハンドルの独特なクルマにしては、興味を持ってもらっている」とのこと。販売は期間限定でも台数限定でもなく、2026年度内に約200台の販売を見込んでいます。
ムラーノの魅力:VCターボエンジンと充実装備
ムラーノの最大の特徴は、可変圧縮比(VC)ターボエンジンを搭載している点です。排気量1,997ccのVCターボエンジン(型式:KR20DDET)は、最高出力180kW(約245馬力)/5,600rpm、最大トルク352Nm/4,400rpmを発生。燃料はレギュラーガソリンでOKです。
日本で販売される日産車の中で、VCターボエンジンで直接駆動するモデルはムラーノのみ。エクストレイルもVCターボを搭載しますが、e-POWERハイブリッドシステムによりエンジンは発電専用で、直接的な走行には関与しません。そのため、ムラーノは「VCターボで走れる」唯一の日産車として、エンジン好きのユーザーから熱い視線を集めています。日産広報も「ロマンを感じる方は多いと思います」とコメントしています。
グレードと価格
日本導入モデルのグレードは「SV」のみで、価格は796.4万円(税込)。ボディサイズは全長4,900mm、全幅1,980mm、全高1,725mm、ホイールベース2,825mmで、5人乗りの2列シートを備えます。ボディカラーはターコイズブルー、スーパーブラック、プリズムホワイトの3色。ターコイズブルーは日本の日産ラインアップでムラーノだけが選べる特別色です。
「SV」グレードはさまざまな装備を標準搭載する「全部入り」仕様。北米仕様をベースに、日本の法規に合わせて標識認識やソフトウェアがアップデートされています。左ハンドル車のみの設定ですが、日産ディーラーで購入・メンテナンスが可能です。
大型SUV市場の新たな選択肢
日本で購入できる大型SUVとしては、トヨタのランドクルーザーが圧倒的な存在感を示していますが、ムラーノは異なるキャラクターで勝負します。ムラーノはクロスオーバーSUVとしてのスタイリッシュなデザインと、VCターボエンジンによる力強い走りが特徴。ランクルとは見た目も性格も異なるため、ユーザーの選択肢を広げる存在です。
今後は日産「パトロール」やホンダ「パスポート」の日本発売が確実視され、スバルも大型車の導入を検討していると報じられています。大型SUV市場はますます熱気を帯びており、ムラーノの投入はその先駆けとなるでしょう。
実際の反応と今後の展望
横浜の日産グローバル本社ギャラリーでの展示中、多くの来店者がムラーノを熱心に観察し、なかには「これを買いに来ました」という客もいたそうです。一方で、「右ハンドル仕様があれば絶対に買った」という声も聞かれ、左ハンドルが障壁となるケースもあるようです。
日産はムラーノの受注好調を受け、今後の米国製SUVの日本導入に弾みをつけたい考え。日本市場における大型SUVの選択肢が増えることは、自動車ファンにとって歓迎すべき動きと言えるでしょう。



