三菱UFJ銀行は、新興企業向け融資の審査に人工知能(AI)を活用するシステムを2026年度までに導入する方針を固めた。与信判断の高速化により、現在数日かかっている審査時間を最短で数時間に短縮し、成長資金の迅速な提供を目指す。
AI審査の仕組みとメリット
新システムでは、企業の財務データや取引履歴、さらにはSNS上の評判やニュース記事などの非財務情報もAIが分析。従来の人間による審査では見落とされがちだった成長性や将来性を評価し、融資の可否を判断する。これにより、担保や保証人に頼らない融資が可能となり、特に初期段階のスタートアップの資金調達を後押しする。
同行は既に、AIを活用した融資審査の実証実験を開始しており、2024年度中に一部の店舗で試験運用を始める。2026年度までに全店舗に展開する計画だ。
スタートアップ支援強化の背景
三菱UFJ銀行は、スタートアップ支援を重点戦略の一つに位置付けており、2023年にはベンチャーキャピタル(VC)との連携を強化するなど、エコシステムの構築を進めている。AI融資システムの導入は、こうした取り組みの一環で、資金調達のハードルを下げることで、革新的な技術やビジネスモデルを持つ企業の成長を促す狙いがある。
「AIによる審査は、人間のバイアスを排除し、客観的な評価を可能にする」と、同行のデジタル戦略担当者は述べている。また、「これまで融資を受けられなかった企業にもチャンスが広がる」と期待を寄せる。
今後の課題と展望
AI審査の導入には、データの精度やプライバシー保護、説明責任などの課題もある。同行は、AIの判断根拠を説明できる「説明可能なAI(XAI)」の技術を採用し、透明性を確保する方針だ。また、金融庁などの規制当局と連携し、適切なガバナンス体制を構築する。
三菱UFJ銀行の取り組みは、他のメガバンクや地域銀行にも波及する可能性があり、日本のスタートアップエコシステム全体の活性化につながると期待される。AI融資の普及により、新興企業の資金調達環境は大きく変わるかもしれない。



