物価高や将来への不安を背景に、NISAなどをきっかけに資産形成や投資への関心が高まっています。そんな中、「育休中に資産1億円」「授乳しながら月1,000万円以上を稼いだ」という驚きの実体験を持つ現役ママ投資家がいます。それが、ちょる子氏です。育児の合間にスマホ1台でデイトレードに取り組み、わずか2年で資産1億円を達成したという同氏は、どのようにチャンスを見極めていたのでしょうか。今回は、ちょる子氏の著書『ママ投資家が育休中に1億貯めた株式投資』(ダイヤモンド社)から、1,300万円の利益を生んだ相場の異変や投資術を紹介します。
ローソク足に刻まれる投資家の熱狂
ちょる子氏がデイトレードで最も重要視しているのは「株価チャート」です。株価チャートには、株価の動きを表す「ローソク足」が並んでいます。ローソク足は、一定期間の始値と終値を箱の形で表したものです。陽線は始値より終値が高い場合(買いたい人が多い)、陰線は始値より終値が低い場合(売りたい人が多い)を示します。デイトレードでは、1分ごとの動きを見る「1分足」や、1日の動きを凝縮した「日足」を使い分けます。例えば、日足が陽線になるということは、朝9時の市場開始時点よりも15時半の市場終了時点のほうが株価が高かったことを意味します。選挙前後の相場が陽線になりやすいのは、市場全体に「買い」のエネルギーが満ちている証拠。ちょる子氏はこのエネルギーを味方につけ、片腕で抱えた生まれたばかりの娘に「ママ、頑張るよ」と語りかけながら、デイトレードの初陣に臨んだといいます。
14時の「急落」が1,300万円を運んだ
ちょる子氏が東京エレクトロン株を選んだのは偶然ではありません。参院選にともなう日経平均の上昇期待、半導体サイクルの回復、そしてテクニカル的な値動きの軽さ——マクロとミクロの経済環境、そして株価チャートの3拍子が揃っていたのです。2019年8月、毎日14時になると株価が急落し、15時になると急上昇するという「奇妙な現象」が起こり始めました。理由は不明ですが、ちょる子氏は「実際にその動きが起こっている」という事実に注目。14時の急落のタイミングを狙い、空売り(価格が下がることで利益が出る信用取引)を仕掛けました。結果は百発百中。わずか1ヶ月ほどで収束した謎のサイクルで、約1,300万円の利益を積み上げたのです。
「片手に娘、片手にスマホ」の真剣勝負
こうしたチャンスは待っているだけではつかめません。当時の東京エレクトロン株は、一度大きく崩れてもすぐにリバウンドする「押し目買い」に絶好の株価チャートを描いていました。ちょる子氏は1分足の株価チャートを注視し、急落のサインを見逃さずにエントリー。相場が開いている前場(9時~11時30分)と後場(12時30分~15時、現在は15時30分)は、ずっとスマホと睨めっこしていました。授乳するときも片方の腕には娘、もう片方の手にはスマホというスタイルが当たり前。娘が眠っているときも泣いているときも、視線は常に刻一刻と変化する東京エレクトロンの株価チャートに注がれていました。育休中という穏やかに見える時間の実態は、赤ちゃんのぬくもりを感じながら、1分1秒を争う相場の最前線で戦う孤独な勝負師の日々だったのです。
授乳しながら月1,000万円以上を稼ぐ
デイトレードと聞くと、複数のPCモニターに囲まれて株価チャートを凝視する姿をイメージするかもしれません。しかし、ちょる子氏の武器はスマホ1台だけです。赤ちゃんを抱えながらパソコンを開くなんて不可能。授乳しながら、寝かしつけをしながら、片手で注文を出す。そんなスタイルでも、1ヶ月で1,000万円以上を稼げてしまう。個人投資家にとって素晴らしい時代になったと実感しているといいます。育休中のピーク時には、1ヶ月の取引回数が1,000回を超えることもありました。1日に換算すると約50回。売買代金が1日で3億円に到達する日もありました。ある日、14時の下落局面で空売りを仕掛けた際、発注ミスで予定の倍の2,000株(約3,600万円分)を誤ってショートしてしまったことがありました。金額の大きさに一瞬青ざめましたが、運よく相場はそのまま下落し、その日は1日で200万円の利益を得ました。「私、ツイてるな」と、自分の強運を味方につけてノリに乗っていたそうです。もちろん毎日大勝ちできるわけではなく、利益が10万円の日もあれば20万円を超える日もあります。
投資記録でモチベーション維持
ちょる子氏は、日々の収支を「パチ簿」というパチンコ・パチスロ用の収支管理アプリでチェックしていました。目標という名の「巨大な壁」も、日々の小さな数字の積み重ねとして可視化すれば、乗り越えるのが楽しくなります。掲げた目標に一歩ずつ近づいている実感をアプリのグラフで確認する作業は、何よりの快感だったといいます。その後、記録は「カビュウ」という株式投資管理・分析アプリに移行し、2020年頃までは毎日こまめに記録を続けていました。現在は毎日の細かい記録こそ卒業しましたが、「年間目標6,000万円」というゴールを定め、利確するたびにそこから逆算していくスタイルをとっています。投資の記録をつけるべきかどうかは性格にもよりますが、ちょる子氏のように「数字を積み上げていくのが好き」なタイプの人にとって、記録による投資の可視化は最強のモチベーション維持ツールになると語ります。「スマホで、いつでも、どこでも、目標を追う」——この手軽さと執着心こそが、短期間で億の資産を築けた最大の秘訣かもしれません。



