Googleのスマートフォン「Pixel 11」シリーズの販売が始まった。例年通り、Pixel 11、Pixel 11 Pro、Pixel 11 Pro XL、Pixel 11 Pro Foldの4製品に加え、Pixel Watch 5も同時に発売されている。
折りたたみモデルの進化
特に折りたたみスマホであるFoldのハードウェア進化は著しい。ヒンジ構造や内部設計が刷新され、より薄く、より軽くなった。2025年の10 Pro Foldと比べると、重量は19グラム軽い239グラムとなり、折りたたみ時の厚みも0.7ミリ薄い10.1ミリになった。XLの重量226グラム、厚み8.5ミリと比べても遜色ないとはいわないまでも、メインスマホとして折りたたみ機を選択肢に入れてもいいと思えるところまで来たと感じられる。
データ移行機能の大幅な向上
このPixel 11シリーズに関するGoogleからの説明の場で、担当者から「機種変更は怖くないか」と聞かれた。対して、聞かれた参加者の反応が鈍かったのは、怖いというより『面倒でトラブルの元』というあきらめや、従来の移行機能を過信できない不安を誰もが経験してきたからだ。だが、今回、移行機能が格段に向上しているという。しかも、Google Storeで注文すると、案内メールが届いて旧端末側で事前バックアップや同期を進めておくことができる。新しい端末が届く前に、写真や動画、パスワードなどをクラウドに同期しておけるので、初期設定のための時間が大幅に短縮される。
実際に試してみると、単なるデータコピーから機種変更に伴うプロセス全体を支援するように進化している。これまではケーブルでの接続が求められた多くの項目の移行がWi-Fi経由でも可能になったほか、新たにeSIM(対応はキャリア依存)、Googleアカウント、パスワードとパスキーが移行できるようになっている。
移行の手間と所要時間
もちろんLINEのように別途データの退避や復元が必要なアプリもあるが、ほぼほぼクローン的に移行ができる。Bluetoothペアリングして使っていたイヤフォンやAIレコーダーなどのデバイスも、新しい端末とペアリング済みとなり、すぐに使い始めることができる。周辺機器の再設定という地味に重いストレスが解消されている。
多くのデータはクラウドにあるので、実際の転送対象はそれほど多くはない。感覚的にはケーブル接続でもWi-Fiでも所要時間はさほど変わらない印象で、おおよそ15分程度で移行できる。もしかしたら、日常の充電に使っているようなデータ転送が低速のケーブルを使うより、同じWi-Fiネットワークに接続した方が速いかもしれない。ウォレットに登録したカードの追加や物理SIMを使っている場合はその差し替えなどが必要になるが、そんなことはたいした手間ではない。
iPhoneからの乗り換えにも対応
今までは機種変更というと、使わないアプリを整理するいい機会程度に感じ、手作業でセットアップしてきたが、このくらい移行機能が賢いと任せてもいいかなという気にもなる。実際、パスワードやパスキーが行方不明になっていたりすることがあり、機種変更後も一ヶ月くらいは旧端末を持ち歩いていたものだが、その必要もないのはうれしい。
iPhoneからPixelへの乗換を重視している点でもぬかりはない。ただ、Apple Payに登録したカード、Face ID設定、iCloudキーチェーンの一部のほか、iPhone用しかないアプリは無理としても、Android版があるアプリはそれをインストールするなど至れり尽くせりだ。その一方で、セキュリティ上、移行が難しい銀行アプリ、証券アプリ、電子マネー、認証アプリなどは個別に対応する必要はある。これはAndroid同士の移行でも同様だ。
スマホの機種変更といえばデータの移行や再設定など1日仕事だった時代もあるが、ずいぶん便利になった。これだけAIがもてはやされる時代、スマホやパソコンの機種変更くらいサクッと引き受けてほしいとは思うが、これだけ細かく移行をサポートできるようにしたのは、開発側の人海戦術に近いものがあったに違いない。機種変更に対する心理的なハードルが下がったのは、そのおかげともいえる。機種変更がめんどうくさくていつまでも古い端末を使い続けるというのは今は昔の話になりつつある。



